2/8
嘘つきは、偽果だから。
僕は、自分で知っていた。
自分のすべてが「偽物」だってことを。
赤く染めた髪も、明るい声も、理想のアイドル像すらも、全部が本物の“真果”に憧れるために作った演技。
――前は、いつも純粋だった。
今よりもすごく。
「注目されたい」そんな夢ばっかり抱えていて、
頑張ってアイドルを目指した。…それが、
うまくいかなかった。「空っぽ」で、
「偽者」だからって、
僕は、何も相手にされなかった。
真者じゃないと、意味がない。
何をしても無理。中身が変わらなきゃ……。
だからって、なれなかった。そのなれなかった
悲しみと心の痛みで、どうしようもなかった。
そしてついに、僕は――
嘘を付くような人になっていた。
そうして嘘を付き続けていると、髪色が赤色、
普段しないことでステージの上に立っていた。
全部が偽っていて、本当の自分がなくなっていた。
……ただ一つ、“ナンパ癖”は本物だったけれど。
でも――
「これでいい。」
嘘だらけの自分に慣れてきたからか、
自分を認めてしまっていた。誰にも本当の自分を知られなくてもいい、自分だけが知っていればいいんだ。