蕎麦屋の娘さん
蕎麦屋の娘さん
蕎麦が美味しいのは
みんなが美味しいと云うからではない
なんか
砕けかけた心を
ちゃんとしてくれる気がするんだよね
夏の夕暮れ
夕立の匂いとか
街の草の「みどりさ」とか
すこし
だけだけどね
心をみていてくれる
気がするんだよね
そんな蕎麦屋の娘さんは
かならず
そば湯はいかがですか?
と
すこし遠慮がちに
すき透るような声で
聴いてくれるのだ
たった一滴の
孤独がそのとき
ポチャンッ
って蕎麦つゆに落ちる
そば湯を飲み干すときの
寂しさにかなり似ているふたりの温もり
その着物を着たような
私の心は
そのとき
たもてなかった悲しみを
なにも
気の利かない人の悲しさで
君に告げてしまうかもしれない
蕎麦を教えてくれなのは
君
蕎麦の舌を切るような美味しさを
教えてくれたのも
君
蕎麦が美味しいのは
君がその美味しさを
教えてくれたから
ありがとう
ありがとう
それで
心の深いところで
なにかが鳴ったよ
でも
心配だけはしなくていい
香川あたり発祥の
丸亀製麺を出すまでもなく
私は関西人なので
うどん派なのだから
え────────────っ?
いや、だから
蕎麦屋の娘さんのこと
べつに
なんとも
想ってませんよ、って。
わざわざ
云わせんな。
バカ云うばっかりが、
ただ好きなだけ。