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墓標  作者: 杉孝子
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すれちがい / 聖なる鐘の音

   すれちがい


風がさらりと吹いた


肌にあたりするりと逃げた


振り向いた時には


近くの葉が揺れていた


風がさらりとまた吹いた


私の髪がぱらりと持ち上がった


振り向いた時には


空き缶が転がっていった


風がさらりと擦り抜けた


私は振り向かずに歩いた


私の後姿を見詰める人に気付かずに


私は歩き続けた


彼女に気付かずに


二度と振り向くことなく


私は歩き去った



   聖なる鐘の音


彼女が結婚するとき


俺はどうしているだろうか


多分何も彼女に言えないだろう


そして俺はどこか遠くで


彼女のことを思い出すだろう


はじめて会ったときのこと


初めてのドライブ


初めてのキス…


そして残ったものは


そんな思い出だけに気づく


愛することは誰にも負けはしなかった


ただ彼女は俺を選ばなかった


ただそれだけの現実


どこかで教会の鐘が鳴っているはずだ


彼女の幸せを祝う鐘が



お読み下さりありがとうございました。

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