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花粉症は荒れる

作者: Hora

 今年の春、初めて花粉症の症状が出た。今まで友人や同僚が鼻をずびずび鳴らしながら辛そうにしていたのを見ていたが、いざ自身の身に起こると辛いものである。初年度ながら症状もそこそこ重いようだ。微熱が続き、頭が重く、寝る時などは呼吸がし(づら)く非常にストレスとなる。外出時に花粉症用のマスクをしているのだが、なにせ花粉の飛散量が過去最高だそうで症状が(おさ)まらない。かといってアレルギーでは会社は休めないという。花粉症の先輩である同僚に相談してみる。

「花粉の時期を乗り越えるしか無いな。体のアレルギー反応だから対処療法で鼻水きついなら鼻水止める薬。くしゃみがひどいならくしゃみを止める薬。熱が出るなら~…ぐらいかな。あ~そうそう。体に寄生虫飼うと体の免疫が虫に向いて花粉ぐらいじゃ反応出なくなるから割と体に無害な寄生虫は良いって聞くぞ。」

「いや、さすがに嫌だわ。そもそも入手が一番の難関じゃないか?Amaz〇nってやかましいわ!絶対日本じゃアウトでしょ。」

「だな~。海外だと寄生虫が数百円で売ってるって聞いたことあるけどな。飲み込んだら血管に入って喉あたりで住みつくとか。」

「うへぇ…。喉って顔付近に虫飼うってマジ勘弁!」

「サナダムシも花粉症とかダイエットに効果あるって聞くけど。あれって腸詰まるよなぁ。18mくらいになったケースあるんだろう?」

「いや、知らないって。もっとまともな治療法とか対処法は無いんかね?」

「舌の裏に花粉症のアレルゲンを入れておくとか、少量を食べるとかもアレルギー治療にあるみたいだな。口から肛門までのチューブは体の外であり内部より刺激に強いからアレルゲンを慣らす特訓になるんだとよ。」

「うわぁ。怖すぎる。医者に頼らず個人でもできそうだけど間違えると顔面死にそう!」

「ようこそ、花粉症の世界へ。」

そんな会話がありつつ6月となり花粉のピークの時期は去っていった。


 しかし症状が(おさ)まらない。花粉症先輩こと同僚はとうにマスクを外し精力的に働いているが、こちらの症状は相変わらず続いている。その日は特に体調が優れず、昼から会社を早退し病院へ向かう事に。

お医者さんいわく、

「うーん…、症状からすると花粉症のアレルギー反応なんですけどねぇ。ではお薬出しておきますね。」

 と対処はしてくれるが、原因を突き止めてはくれないようだ。別のアレルギーなのかなと考えながら受付の前の長椅子に座り、薬と支払いを待つ。すると隣に座っていた30歳ぐらいの女性が話しかけてくる。

「えっと…、あの、すみません。私、仕事で占い師をやっているのですけれど、あなたにとても珍しいものが()いているので写真撮っても良いでしょうか?」

「えっ!?何って? …何か突っ込みどころがあり過ぎるんですが。」

「あ、ごめんなさい!そうですよね。ほんと怪しいもの…詐欺とかじゃないんです。あなたに犬神とその姫が()いていて、私の能力…と言ってもそれしか取り柄が無いんですけど、写真に撮ると霊の念写ができるんです。」

「あ、、そ、そうなんですね。はい。病院内じゃ迷惑ですから、駐車場とかなら良いですよ。」


 そして薬を受け取り支払いを済ませてから2人で駐車場に向かい、女性がスマホで写真を撮る。スマホなんだ…。そして、その画面を見せてもらうと確かにそばに小象サイズの大きな犬とその背に若い娘が座っている。どちらも背景が透けて見える。女性いわく

「犬神は病をもたらす存在と言われていて、後ろの姫がそれをサポートしているようですね。私は祓う事はできませんが、早めに何とかした方が良いですよ。あ!写真ありがとうございました。」

と言い、そそくさと女性は病院内へ戻っていった。


「いや、花粉症じゃ無かったんかい!紛らわしい時期に紛らわしい症状を!花粉症より対処が難しいわ!つーか、も〇〇け姫か!?犬神って病をもたらすんかい!」

と、ひとしきり突っ込みを入れた。

 会社から病院へ、病院からお寺へ、お寺から神社へ、帰り道にはしごするハメになったのでした。

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