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猿橋と光と影の巷談  作者: 犬冠 雲映子
幽世を彷徨う
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線路遊び

 柵もない線路内を歩きながら、二人でお遊びをする。私自身は生まれてから一度も線路なんて歩いたことはない。村の外にあまり行かない。

 初めてで、法的な事に背く、背徳感と初体験に少しわくわくしていた。よく不良とか自殺行為をする輩が立ち入ると都会のニュースが報じていたっけ?

 生憎私は不良少年へ傾いたこともなければ、自殺行為へ追い込まれるほど不幸な人生を歩んではいなかったわけだ。


「あのね。サルハチ。わたしね、秘密でぼーけんしてるの。みんなに内緒で。だからね。ごめんね」

 はしゃいでいる彼女は、いきなり照れくさそうに告げる。冒険?

「ホントはね、線路を歩こうと思ってたんだ~…だってアタシ、映画で見たから。憧れてたんだ。でもサルハチがいたから、サルハチ、つまらなそうにしてたから意地悪しようと思ったんだ」

 だからホームにいたのか。この人面犬は“みんなに内緒で”線路を歩こうとして。


「ごめんね、それも嘘。アタチ見たんだ。サルハチが妹のオネエチャンとケンカしてるの。ワタシ、サルハチが悪いと思って意地悪しようとしたの」

「見てたんだ」

「ウン。アタチも妹だったから」


 彼女にも姉がいるらしい。驚くが、チョゲの泣きそうな顔になにも言えなくなる。

「サルハチがいなくなるのは寂しいよお。またひとりぼっちになっちゃうの。怖いよ」

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