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空想科学 パニック 宇宙 SF

花火?

作者: 山目 広介

 それを最初に見た時、花火だと思った。

 それは地平線よりゆっくりと昇って行って、消えてしまう。


 帰宅時間。

 暗闇の中を歩いていたときだった。

 もう充分に冬と呼べそうな時季。

 大気があまり対流で掻き回されず、それでいて北半球では夏に比べて明るい星が夜空に輝く。

 星見には良い季節。

 だからと言って、街中でそれも日が暮れたと言ってもまだまだ明るい地上の光の中、流れ星が見えるとは考えない。

 花火かと思ったが、あれは流れ星。

 いい物が見れたと天文好きとしては思う。

 細い光が立ち昇る。

 それは流星群、いや多すぎる。流星雨と言うべきものだった。

 放射点が地平線よりも下にあるせいか、雨という感じはしない。

 次から次へと疾い光の線があまり星が見えない都会の空を切り裂いていく。

 話題になっているだろうとニュースを調べる。

 何故か砲弾などの攻撃と勘違いしたのかパニックになっているらしい。

 確かにこれを見たら驚くし、分からなくもない。

 だがそこまで慌てなくてもいいのに、と思っていた。


――カツン!


 そんな軽い音とその後の瓦が落ちて割れる音。

 更にはガラスが割れるような甲高い音が続く。

 そこで考えを巡らす。

 ここまで数があれば、地上まで燃え尽きないのがあってもおかしくない。

 悲鳴が聞こえ、そちらに視線を送ると人が倒れている。

 そしてパニックが自分にも訪れる。

 ヤバいッ! ヤバいヤバいヤバいヤバい。

 周囲を見渡す。

 周りはまだ民家ばかり。

 もう少し進めば丈夫そうなマンションがあるから、そこに逃げ込もうと走り出す。

 カバンを頭に構え、一目散。

 息が切れ、鼓動も乱れる。

 学生時代以来の走り込み。

 怖い怖い怖い。

 他人が倒れていようがお構いなし。

 他人より自分。

 まず自分の身を確保してからじゃないと怖くてどうしようもない。

 逃げろ逃げろ逃げろ。

 同じようなことを考える人間はいる。

 つまり丈夫そうなマンションに勝手に突撃する(やから)だ。

 丈夫そうといってもアパートや民家と比べてだ。

 セキュリティがしっかりしてるようなものじゃなく、築ン十年の古い団地のような建物だ。

 だがこの辺では大分マシな部類だろう。

 病院とか学校とかの方が丈夫そうだが歩きでそこまで行きたくない。

 そして集う人々が入り口に殺到し、怪我を負う。

 中になんとか入り込めると、なんとか助かったのか、と一息つく。



――後日

 ニュースではあれは次のように伝えていた。

 ギネス記録に挑戦していた巨大花火の事故だったと。


 マジで花火だったのかよ!



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