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特典なき異世界転生~生きろ~  作者: まっつん
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結論は帰りたい

見切り発車ですが、私も投稿して見たくなったので初投稿。完結目標に頑張ってみたいと思います。

ザザザザザ……


少し下り坂の山道を滑り降りる。途中にあった木の枝が頬をかすり、鋭い痛みが走ったが、構わず俺は前方へ走り出す。


ゲギャッゲギャッ


後方から聴きたくない鳴き声がした。しかも複数。

ゴブリン……というのだろうか、小柄な体躯にギザギザの歯、申し訳程度にボロ布を纏ったその姿はファンタジーに出てくるゴブリンそのものだった。


山中でバッタリ出会った俺とファンタジーさんはしばらく見つめ合った後、どちらともなく走り出した。俺、逃げる。ゴブリン、追いかける。


最初は軽いパニックになったが、俺は走りながら少しずつ平静を取り戻していく。完全にパニックにならず、早く平静を取り戻せたのには訳がある。聞いていたのだ、この世界にはあのような生物が多く生息していると。


ここは異世界、剣と魔法とモンスターといったファンタジー要素が満載されている。……と女神さまがニコニコしながら言っていたからだ。






時は少し遡る


「パンパカパーン、おめでとうございます!松浦清児(まつうらせいじ)さん、あなたは地球初の異世界転生者に選ばれました。」


後光を纏った中・高校生くらいの少女が俺こと松浦清児へそんなことを言ってくる。いかにも『女神です』と主張している純白の衣姿に満面の笑みを浮かべている。


そんな少女を無視して、俺は周囲を見渡す。雲ひとつない青い空、白い地面が見渡す限り広がっていた。少女と俺以外には樹木も建物も海も湖も丘も山も視界を遮るものは何一つなかった。某漫画の精○と時の部屋のようだ。


「パンパカパーン、おめでとうございます!松浦清児(まつうらせいじ)さん、あなたは地球初の異世界転生者に選ばれました。」


ここに至るまでの最後の記憶を辿る。今は3月、俺こと松浦清児は地元高校を卒業し、春から関西の大学へ通う予定だ。つい先日まで大学周辺のアパート探しなど入学準備に追われていた。


今日も一人暮らしに使う家電やベット等の家具を揃えるため、午前中から買い物に出掛けた。昼食を馴染みの店で済ませ、買い物を再開しようと店を出た所までは覚えている。いや、扉を過ぎた後の記憶がない。次の瞬間にはこの青と白の空間だった。


「パンパカパーン、超おめでとうございます!松浦清児(まつうらせいじ)さん、なんとなんとなんと!あなたは地球初の異世界転生者に選ばれました!」


「……」


そして三度目にも関わらず、元気とセリフ割り増しで異世界転生当選を告げる少女に一度視線を向け、すぐにまた周囲に視線を戻す。


「パンパカパカパーン、テラおめでとうございます!松浦清児(まつうらせいじ)さん、あなたは名誉ある地球初の異世界転生者に選ばれました!」


……少女は折れない心の持ち主だったようだ。俺はため息を吐きながら、視線を少女に戻して言った。


「転生とか面倒なので、帰して下さい。すぐに。」



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