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雷落ちて華も咲き  作者: 李阿里未来
7/21

結構限界も近いってそういう話

返事は未だ聞けず。

気づいたら視界は2メートル級。。。

あれれ????

ーーーーー私は今年で18。

学校には通ってないけどちゃんと毎日自炊しているし、掃除だってマメにしている。

庭の手入れや体幹トレーニングで汗を流したり、ランニングだってしている。

つまり何が言いたいかというと、私の身体はそこそこ健康体で、そこそこに育っている。

雷華程ではないにしても、出る部分は出ている。





…………にも関わらず私は今、軽々と持ち上げられている。

脇の下をがっしりと支えられての「高い高い」状態。

まさかこの年になってされるなんて思わなかった。

しかも、自分よりも年下の少女に。。






ーーーーー「雷華はまたいなくなってしまうの?」






…その返事を待っていたはずなのに、気が付いたら持ち上げられていた。




…………もしかして、、、、はぐらかしている?、、、

グルグルと頭の中で分析していると、やっと雷華は口を開いた。




「もう絶対に言葉を置いてはいかない。もし行くとしても、今度は一緒だよ?その為に私は、強くなったんだから。」



…………安心してなのか、少し震え気味に吐息が漏れた。

中学生の頃から自在にビリビリ出来るような彼女が、さらに強くなったらしい。




「…………何で抱き上げたの?」




「あ、ごめんね。怖かった?安心させたかったのと、強くなったよ!っていうのをわかってもらいたくて……」




「そうね。雷華が充分に強いことはわかったけれどこの目線が慣れなくて全然安心できないから今すぐ降ろしなさい。」


「はい………………」


……軽めのチョップで許してあげた。




「安心はしたけどまだ向こうのことたくさん聞きたいわ。私を守れるくらいに強く、ね。どんな修行を積んだのかしら?どんなイベントを経験したのかしら。いいネタ、、、、になるといいのだけれど。」



……すっかり余裕を取り戻した私は優雅にコーヒーを飲みながらソファに座った。






「色んなことがあったよ。。。

取り憑かれたり、焼かれたり、お腹に穴空いたり、、、、、、、、、、、、、、死んだり。」






「ンブッッッッゲホッゲホッ………………」



……コーヒーは霧状になってテーブルに吹き付けられた。


雷華はすぐにタオルと水を持ってきて、私の口とテーブルを拭き、私の背中をさすりながら水を取りやすいところに置いてくれる。




「大丈夫?ごめんごめんびっくりさせちゃった」



……まだ少しぜぇぜぇするけど、それよりも雷華の言葉を思い返して、、、、、解ろうとしても余計に混乱して、全く落ち着かない。



「嘘……ではなさそうね……」




「うん。えっとまずーーー」



……事の発端となる事件から、

雷華が一度死んで生き返るまでの話を聞いた。

何時間か経っただろうか。。。

とてもじゃないけど気持ちのいい話とは言えなくて、口直しに飲んでいた炭酸が程よく胸の中を荒らした。




向こうの世界では「死」は隣人のようなものなのだろう。

「戦争」や「モンスター」等の単語から想像していたよりも話はリアルで。残酷で。怖い。





…………ふと雷華のお腹を触った。

…………ここに、穴が空いた?

想像してしまった私は顔を歪めた。

すると雷華は私の手を取って「もう少し上だよ」と導いてくれる。

…傷痕も修復痕なく、綺麗な肌。

……ここを自分の腕で、貫いた、、、のか、、

ーーーーーと考えていた時だった。急激な吐き気。これまずい。



ソファから電光石火の動きで洗面台へ移動し、吐いた。

……固形物は何も出なかったのが不思議で、口をすすぎ顔を上げると、そこにはとても見てられない私の顔があった。



「……まったく何て顔してんのよ、私は。辛かったのは、、、あの娘なのに、、、」


「今辛いのは、言葉でしょ」


「雷華……ってえ?ちょっっっっ!!!」







…………急に背後に現れた雷華にお姫様抱っこされた。

…………そのままリビングまで運ばれソファに寝かされる。

まだ炭酸の入ったコップは雷華に下げられ、私は大人しく渡されたスポーツドリンクを一口飲んだ。…………美味しい。






「ごめん……言葉の気持ち考えてなかった……」



「何を言っているの?気にしないでいいのよ。」



申し訳なさそうにする雷華があまりに可愛らしくて、頭を撫で撫でする。





……雷華と目が合うと、抱き着いてきた。

驚いたのは一瞬で、すぐさま私も腕をまわして応える。






……少しの間の沈黙。ドクンドクンドクン。

静かな部屋に響く胸の鼓動。





…………ああ。温かい。安心する。

それは雷華も同じなようで、鼓動がゆっくりになっていく。

しばらくすると体は離れた。雷華は私の目を見て、口を開く。




「…………死ぬ時ってさ、眠いとかそういうんじゃなくて、

だんだんわからなくなっていくの。

だんだん、体の隅から私自身が離れていくというか。

縮んでいくというか。沈んでいくというか。

何の後悔もなかった筈なのに、最期に言葉に会えないんだって思った途端に怖くなった。」






……説得力と破壊力のある言葉だった。





「生き返ってから、言葉のことばっかり考えてた。

どうすれば一緒にいられるか。

置いていく、なんてしなくていいかってそんなことばっかり。ずっと。」





……そっか。だから雷華は私にも……




…………しびれを切らした睡魔が私を仕留めようとする。

既に色々と疲れている私は、雷華の言葉に返事をすることもなく堕ちてしまった。




ーーー。。




ーーーーー。。。。




























大好きな人の腕の中にいる。

眠るにはそれだけで充分過ぎて……

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