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雷落ちて華も咲き  作者: 李阿里未来
3/21

2人は分かり合っているっていうお話

回想です。

追憶です。

……綺麗な夕焼け空だ…


ーーー雷華は去年の7月に私の前から姿を消した。

いなくなること、会えなくなること、とても寂しいこと。

……それを、雷華は笑顔で言った。


突然殴られた様な感覚。

頭が真っ白ってこういう感じなのか!

なんて考える余裕などある筈もなく無く

ただ目の前の彼女を見る事しか出来ないでいた。



ーーー何で?何故?



………嫌だ。


嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。


離れたくない。

ずっと一緒にいたい。

だって、まだ何も、、、、、



違う。


そうじゃない。


確かに私がこの地へやってきたのは新たな物語を書き上げるためだ。


雷華の絵を見た私は、新たな世界が書けるって確信して、何もかも終わらせてこの地へ来た。


ーーーけどそんなことはもう、どうでも良くなっていた。


傍にいてくれるだけで良かった。

手を繋いで、笑いかけてくれるだけで良かった。



…………だから、余計に分からなかった。



「…………本当の理由、教えてくれないのね…」


「……………言葉………」


「いつ帰ってくるの?」


「…え?そ、それは…ごめんわからない…」


「もう。何だよそれー。ふぅ…」


「ごめん………」


雷華は俯いた。顔は曇っている。私には、解る。

よし。本当は泣き叫びたいけど、

たまには年上のお姉さんらしく気丈に振る舞うとしよう。


「……………私、我慢出来るよ?待てるよ…今だって辛いし、きっと寂しくて毎日泣くんだろうし、でも、でも…」


「………」フルフル


雷華は拳を握りしめたまま、小刻みに震えていた。

………辛いのは、私だけじゃないんだ。


「それは、雷華も同じだから!!!だからさ、言ってよ。待ってて欲しいってさ!!!」


雷華を強く抱き締める。


涙はとうに溢れ出していて、

互いに震えている。



……小さな啜り声の後、雷華は体を離し私の目を見て言った



「絶対に帰ってくるよ。どんな時も、何処にいても、言葉のことを想ってるから。大好きだから。大切だから。大事だから。ーーーーー愛しているから。」




ーーー私の心は都合良く出来ている。

今の今まで真っ黒に絶望していたのに。

不安と恐怖に怯えていたのに。

雷華に「愛してる」って言われただけで、そんなものは吹き飛んでしまう。


「……………だから待ってて欲しい。この家で。」



笑顔で言いきりやがって可愛いなこの。

いっぱい話聞かせないと怒るからね!拗ねるからね!




「………うん。待ってる、待ってるよ………」



ーーー夕陽が沈んだ後も暫くの間お互いの温もりを感じていた………



詳しい事情なんて知らなくてもいい。

言葉が知りたかったのは雷華の本心だけ。


………うーん綺麗な星空だ………

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