16話目目覚めの悲報
~諒視点~
「・・・」
あ?何処だここ?病室・・・じゃないな。何処までも白い空間が広がってるが・・・
「・・・面白いよな。神様がくれた世界はこんなに退屈な場所とわね~」
ん?
「誰だお前?」
「・・・ん?俺か?・・・そうだなぁ・・・歴史の重要なときに現れ重要な人物に話しかけるそんな神様的な奴かな?」
「・・・んでそんな神様とやらが何でここに俺を呼んだ?」
胡散臭え・・・
「君が重要な人・・・歯車のような存在だね。」
「・・・は?」
「この時計はいくつものパーツで作られている。けどこの時計からひとつでもパーツをとっちゃったら時計は動かない。そのパーツのひとつが君さ。」
本当に意味わかんねえ・・・
「君がこれからどんな事になるかはまだ分からない。けど君の父親はこの時計のパーツのひとつになった・・・いやなるはずだった。」
「はず?ならなかったのか?」
「あぁ。だがならなかった。君はその父親のかわりとして歯車となる。」
えぇ・・・
「それじゃまた今度。」
「・・・え?」
いきなり床の感覚がなくなる。てか落下してる。
「えぇぇぇぇぇぇぇ!?」
気付けば、先程の軍病院ではなく軍司令部の医療室に居た。そこにはべネットが居た。起きたのに気付くと
「諒!大丈夫!?」
と言った。
「・・・まぁ何とか・・・べネットは?」
と聞くと
「大丈夫。でも他のほとんどが重傷者ね。」
と言っていた。その後総大将も来て回復を喜んでいた。そんなときだった。
「偵察隊から報告。自由への翼は撤退。被害は不明・・・こちらの損害・・・
・・・総大将の部下はとても心苦しそうだった。ここに居た全員は察した。
「・・・戦死者1・・・」
・・・誰かが犠牲になったことを部下は続ける
「・・・遺体の損傷が激しく遺体から身元は特定できませんでした・・・ですがタグから・・・グロムであることが分かりました。」
「・・・」
胸が締め付けられる気持ちだった。
「グロムは病室から飛び降りて自由への翼に向かっていたそうで・・・部屋にはこんなものが・・・諒軍曹にと・・・」
そう言い渡してきた。遺書と書かれ寿印が押された手紙だった。
「・・・これって・・・」
部下は失礼しました。と一言言い去っていった。
「・・・」
中にはこう書かれていた。
『諒へ
いままでこんなことを書くつもりもなかった。だが自由への翼は軍病院に来るだろう。その時は私は死地に往く。鴨を喰らう狼になる。それを諒達は怒るか?それとも悲しむか?私には分からない。けど、私は私がやれることをやる。わがままかもしれない。それでも私はこれしかできない。
グロムより』