15話目再襲撃
『緊急放送!緊急放送!これは訓練ではない!繰り返す!これは訓練ではない!自由への翼と思わしき者達の襲撃だ!至急迎撃せよ!』
放送が流れる。自由への翼が襲撃してきたようだ。
「・・・よほど諒達を潰したいんだな。」
グロムがため息をつき窓を開けると
「私が押さえる。」
と言った。太刀風は
「ダメだよ!危ないよ!」
と言ったがグロムは
「大丈夫。私は早々くたばらない。」
そう言い窓から飛び降りた。天龍が
「・・・どうする?援護するか?」
と聞いた。太刀風は少し悩み
「・・・グロムを信じよう。」
と言った。そう言い太刀風は館内スピーカーを使い
『全員、避難してください。怪我をしてない人は重傷者の護衛をお願いします。』
と言った。それを聞いたグラーフは
「敵に情報を伝えるとは愚かな・・・ドイッチュラント・・・回り込んで始末しろ。」
と命令した。だが
「・・・申し訳ないが同志グラーフその命令は聞けそうにない」
と言った。
「?何故だ?」
グラーフが聞くとするとドイッチュラントは正面を指差した。そこにはまるで阿修羅のようなグロムが立っていた。
「・・・邪魔をするか・・・総攻撃だ。グロムを撃て」
その命令と共に全員が攻撃をしだす。だがグロムはそれを弾きながら近づいてくる。グラーフは
「・・・力を使いこなせるようになったか。同志グロム」
と言った。グロムはグラーフに近づくとグロムはただ一言
「・・・勝利の凱旋には誰かの犠牲が必要だ」
そう言い周囲に纏っていた電撃を取り込んだ。
「ッ!同志グラーフ!危ない!」
ナッサウが咄嗟にグロムの前に立ちはだかり砲撃する。だがグロムは恐れること無くこう呟いた
「我らは空の黒き雷雲。」
そう言い電撃を一気に放出した。周囲一体が閃光に包まれた。
「ッ!」
閃光が消えるとそこには見るも無惨な姿になったグロムとまともに雷撃を食らって重傷を負ったナッサウ達が居た。
「・・・同志・・・そこまで人間が大事だったのか・・・」
そんなときだった。なにかを歌う声が聞こえる。掠れてとても弱々しい声だった。
「スツーカ、スツーカ、スツーカ・・・我ら出撃命令下るとき我らが備えるは盤石ぞ・・・」
その声は聞こえなくなった。声の主は息絶えたグロムだった。グラーフはグロムに近づくきしゃがむと小さな声で
「・・・我らは死に恐怖せず疲れも感じない・・・同志グラーフ。勇敢なる英雄よ。安らかに眠れ。」
そう言い立ち上がり
「一時撤退だ。重傷者が出た以上深追いもできない。」
と言った。