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婚約破棄され過ぎて心が折れそうです  作者: プラン9


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52/79

52「異常ってのは、周りが異常だとそれが普通になってしまうのです」

 銭湯から帰ってきた私は、ところ構わず、令嬢だろうが王女だろうが関係なく『ドラゴンを殺せる人間の一人や二人いるわよね?』と訪ね回った。

 結果? 私が自分の部屋のベッドで呆然と天井を眺めているのよ、察しなさい。


「どっ、どうかしたんですか? 元気が無いように見えますけど……」

「あー、うん。ちょっと自分の常識に疑いを持ち始めてね……」

「じょっ、常識……?」


 正直アヘンに相談しても何の解決にもならない気がするのよね……。

 だって彼女、常識が常に非常識みたいなものだし。というか昔読んだ推理小説だと、アヘン常習者は幻覚になれて割と一般人に溶け込んで暮らしているみたいなんだけど、彼女を見る限りそうでもなさそうよね……。

 まだ幻覚症状が現れてあまり日が経っていないという事かしら?

 この辺の考察も後でしなければならないわね……。面倒だけど気になるわ。


「あっ、あのっ……そんなに、気にしなくてもいいと思います。私も、突然大量の虫が現れる。のが普通になっていますし……えと、常識とか、普通とか、人それぞれなんじゃないかと」

「慰めてくれてんの? ……ありがと、嬉しいわ」


 たまーにまともに戻るから、ちょっと対応に困るのよね。アヘン。

 いや、とても良い子なんだけどね? でも普段の奇行とか、寝るときのあの暴れっぷりとか見てるとね?


 でも彼女がいない時に部屋をしらみつぶしに捜索してみたけど、妙に黒い剣以外なにも出てこなかったし……。

 となると、アヘンは一体どこでアヘンを手に入れたのかしら?

 ……なんだかアヘンが頭ん中でゲシュタルト崩壊している……。

 ま、まあいいわ。今気になるのはそんなことじゃあないし。


「……ねえアヘン、あんたんとこの故郷、竜退治とかしたっていう英雄の話とかある?」

「えっ、ごっごめんなさい……そういうのあまり詳しくなくて……」

「そう……竜退治出来る奴がいるのって普通じゃないのかな……」

「国が退治したってお話は、たまに聞きますけど……」


 それもほぼ伝承レベルですね、とアヘンが最後に申し訳なさそうに付け足す。

 つまり、私んとこのようにしょっちゅうドラゴンが現れて、ドラゴンを退治するってのは他国から見たらかなり異常って事かしら?

 ……あれっ。となると、モンテクルズ出身ってバレた時点で、既にかわいい系美人系な女を求めている男からは相手にされないってこと!? ヤバイ、どうしよう……いや竜退治も出来ない人も勿論いるよ!? 私の私兵は少人数で竜退治普通に出来るけど。そもそもしょっちゅう竜出てくるけど。


「しかしそうなると……この脂肪どうしようかしら」

「太っているようには見えませんが……毛虫みたいなのがびっしり付いているんですけど、大丈夫ですか?」

「アヘンそれ幻覚」


 確かに、「太っている」と自分で言う奴ってのは大抵端から見たら太っていないもんよ。でもね、肉がつまめて本人が太っていると認識したら、それはもう太っていると言っても過言ではないのよ。

 でもどうしようかしら……竜退治が得意な人がいたら、そいつとパーティ組んで竜退治に行こうと思っていたのに……。

 いや、モンテクルズで竜退治はもう飽きたというくらいやっていたんだけどさ。でもこう、あれ結構いい運動になるのよ。

 ……いや、止そう。よくよく考えてみればモンテクルズはラストダンジョン、じゃないラストに到達する大陸。要はラスボスと戦うための場所。そこの魔物のレベルが高いのは冷静に考えてみれば当たり前の事。

 ……でもそうなるとこの大陸じゃ満足な戦いが出来ないって事に……それだと脂肪燃焼出来るかしら。

 アメリカみたいに海に鮫が出てくれれば良いのに、流石にトルネードに乗って飛んでくるのは嫌だけど。


「ひょっとして、ホームシックですか? 青色の毛虫が付いている人は、寂しいと感じているみたいです」

「幻覚を占いに使うの辞めなさい」


 この女変な進化してやがる……適応って言うのかしら。こんな適応嫌だわ。


「……ねえ、アヘン。貴女、幻覚が見え始めたのは何時ぐらいの時からかしら?」

「えっと、確か……5年前から、です。流石に最近は、幻覚とそうではないものの区別がつき始めましたけど、たまに気分がアレな時は、分からなくなります」

「5年前……きっかけは?」

「こっそりと寮を抜け出して、余市で変な剣と、お香っていうのを使い始めてから、です」

「そう、ありがとう。おやすみ、無理させてごめんね」


 アヘンはその質問が終わると、布団を頭から被りなにも見ないように、がたがたと震えながら床についた。

 アヘンの目は常時壁の隅や、ベッドの下をまるで狂ったように見ていた。実際狂っていたんでしょうね。多分彼女には毛虫の大群とか、大量のムカデや蛇とか、腕みたいなのが見えていたんじゃないかと思うわ。

 だというのに私の話に付き合ってくれた。労いの言葉の1つや2つかけてあげたくなるものよ。

 しかし……多分だけれど、アヘンが買ったお香ってのは麻薬の方のアヘンでしょうね。植民地にしてアヘンを我がモンテクルズで独占栽培して、アヘン貿易で一気にガッポリと……いや駄目か。流石に人として。


「中々ままにならないわね……」


 取りあえず今日は寝ましょうか。ケツァルコルトニーやら火傷娘やら色々とあったし。

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