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5「弟はヤリマンです」

 ギルドに逆賊の死体を引き渡し、強力な魔物のなんやかんやも終わらし、ついでに夕飯もそこで済ませた私は、新たに買った黒いゴシックロリータ服(これを着た私を見て笑っていた同僚のスクリロは殴ってやった)を着て、私はシワになるのも知らず存ぜぬと、馬鹿みたいに大きなテーブルに突っ伏していた。

 ここは、リビング的な場所だ。大きなテーブルと、著名でくっそ高いらしいが私には良さの分からない絵画。そしてふふかの椅子! ビーズのように細かい麦を詰めた人を駄目にするクッション。それに身を預けながら、私は今日1日に起きた出来事を振り替え、ため息を洩らした。

 疲れた……色々と、本当に色々と疲れた。


「どうしたのお姉さま、まるで脳みそ吸われて空っぽになった猿みたいだよ」

「そのグロい例えをやめなさい、ラスト」


 テーブルに突っ伏した状態で、顔だけを声の方向に向ける。

 ハスキーボイスな声をかけてきたのは、私の弟で、お姉さまより男を魅了するのに定評のあるラスト。

 私と違い目はくりんくりん、第二王妃と同じ黒い髪は馬の尻尾のように後ろで束ねている。しかも片目隠れ。私のツボを刺激しすぎよ、こいつ。

 ぶっちゃけ私より女っぽいと定評のあるこの国の王子だ。私の婚約者を寝取った奴だけど、もうなんか感覚がマヒしているのか、なにも感じない。慣れって凄いね!

 まあ、嫌いになれないのは前世の記憶があるからかもしれないわね……。ゲームじゃラスト、私のために死ぬんだもの。


「所でさ、あんたココアを何に使ってたの?」

「何って……うーん、訊くよりもボクを匂ってみなさいな」


 そう言ってラストは、両手を広げて「さあ!」と叫んだ。

 ……ぶっちゃけその行為に引いてるのだが、私は私の好奇心に逆らえず、さながら蝋燭に飛び込む蛾のようにラストへ近付き、うなじ辺りの匂いを嗅ぐ。

 ……なんでチョコの匂いがするのかしら、この子。何やらかしたのかしらこの野郎。


「尻の穴にココアパウダー入れあったり、そこから出したチョコを塗りあったりしただけだよ!!」

「聞きたくなかった、弟の変態プレイとか聞きたくなかった!!」


 私なんで弟の特殊性癖を聞かされてるんだろう。あれね、好奇心は猫をも殺すって奴ね。思春期を殺された少女ですだわ私。


「異常なプレイってね、すんごく気持ちいいんだよ? ボクが言うんだから間違いない」

「あー、うん。それはまあ、分かっちゃうのが嫌だわね……」


 前世でも今世でもBLにハマってる私は分かってしまう。駄目だと、禁忌だと、背徳的だと分かっていても、否分かっているからこそ……その発言に同意してしまう。ごめんなさい前世今世のお父様お母様、娘は汚れております。弟汚してしまってすみません。


「……所で、私の元婚約者はどうだった?」

「うーん、80点かな。持久力が無いのが欠点。でも数と大きさが凄くて……」


 なんつー雌の顔してんだこいつは。


「しっかしお姉さま、礼儀作法はどうしたの? 王妃教育受けたでしょ?」

「肉体言語で分かり合えましたわ」

「分かりあえてないと思うけど……」


 困った時は肉体言語、これに限る。

 いやー、流石はゲームのラスボスだわね。9歳ですんごい戦闘技術持ってて……それでお父様お母様、あたくしの教育諦めやがったのよね。

 その結果が、ご覧の有り様だよ!! 婚約者、全然いないアルよ! 修道院からも「勘弁してください」と断られてるんだもの。もう、傭兵として生きて行こうかしら。

 好きに生きて理不尽に死のうかしら。


「まあ、お陰で死人は一切出なかったから、周りがどう思おうとボクはお姉さまが好きだよ」

「フフッ、ありがとうラスト。ただ好きなら婚約者奪わないでほしいわ」

「それは無理だよお姉さま。ボクはお姉さまが好きだから」


 ペロリ、と艶かしく唇を舐めるラストは妙にエロい。私は、ラストが実はサキュバスだったとしても多分驚かないだろう。

 というか多分納得する。こんな蠱惑で小悪魔な、女の色気を出す男の娘とか……まっ、まあ、原因は私にもあるんだけどね。


「……もしかしてお姉さま、体を持て余してたりする?」

「まっ、まあ、そりゃ、それなりには……」


 これ姉弟とする会話じゃないわよね、と思う私の前に、ラストは妖艶な笑みを浮かべる。

 ……なーんで男の方が色気あるのかしら、本当。


「んじゃあ……ボクで発散してみる?」

「……気持ちだけ受け取っとくわ」


 ちょっと惹かれてしまったけど立ち止まった私、偉い!

 純血主義とかいうのもあるけど、今目立った宗教も無いけど、流石に近親は駄目よね。うん。手を出すのは16人目にフラれてからよバルカ・ド・モンテクルズ!

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