21「弟の女の子力が高くて嫌になるのです」
「なあっ、おっおい。……その、さ、助けてくれてありがとな。……あの、さ、今、時間とかあるか……?」
おかしい。
「君……だよね、ぼくたちを助けてくれたのは。お礼をしたいからさ……この後、時間ないかな?」
――おかしい。
「あっ、あのっ、私と付き合ってください! あの時ひっ、一目惚れしました!」
――――おかしい!
「なんで女ばっかり来るのよ!?」
「まあ仕方ないんじゃ無いかな、お姉様」
聖アリストテレス学園初日、着いてから早々に私が受けた告白は全員、女子からでした。男? 近寄りもしないわよ。笑えよベジータ。
というかまだ入学式前日よ? 寮行って制服の採寸するまでの間に、なんでここまで告白されるのよ女に。女に! アタシ! ノーマル!
「ってか、なんであんたに男が行くのよ」
「そりゃあ、ボクがフェロモンビンビンに出してるからじゃない?」
「あんた男でしょうが」
「……凄いですね、バルカ様」
おかしいわよね、普通寄ってくるの逆の筈よね? そしてラスト、なんであんた女子寮の方なのよ。そりゃあさ、あんただと男相手にハーレム作りそうだけどさ。つか船で作ってたけどさ。
そして周りの女子よ、少しは違和感持とうぜ。こいつ、男。女に見えるけれど、女より女っぽいけれど、男!
あとアリーシュ、腕組まないで。そりゃそうしてから女寄ってこなくなったけど、今度はなんというか、後ろから男子の、百合的な視線が……ああすんごい良い匂いだこの娘。
「ねえラスト、お願いだから寮内で女子に手を出さないでね」
「大丈夫だよー、女の子には手を出さないから」
うわーいこいつ男に手を出す気満々だー。駄目だこいつ、マジで駄目だこいつ。
というか世継ぎどうするんだろう本当に。野郎のケツから出た精液で人工授精? 何それすんごいアブノーマル。
「というか、あんたその服……何?」
「何って?」
今のラストの服装は、ドレスである。ふりふりの、見るからに女の子が着ていそうなドレス。恐ろしいことに、これがめっちゃ似合っているのだ。似合っているせいで、似合いすぎているせいで逆に女子から注目を集めていやがる……私? イケメン見る時と同じ視線よ。何だ、喧嘩売ってんのかお前。
「ラスト様、凄くお似合いですね! ……私じゃなれないくらい」
「そんなことないよー、後でお化粧とかオシャレとか教えてあげる♪」
「わっ、私もラスト様みたいになれるでしょうか!?」
「大丈夫、可愛いから!」
お前ら……女子か! いやアリーシュは女子だけれど。
……自分より女子力の高い弟に対し、少し劣等感を感じる私でした。




