18「王女様は守る人を選ぶのです」
化け物発言はともかく、どうすべきかねぇ……相手浮いてるし。
あの距離なら別に飛べるけども、空中です自由に動くことは出来ないからなぁ。狙い打ちされるのが落ちだわ。
「このっ、ちょこまかと……鬱陶しい!!」
稲妻程度なら別に避けられるのよね、動き直線的だし。
「あんなの、普通避けられるか!?」
「化け物だ……」
テメェ等守るのやめるぞ。
というか、どうしようかしらこれ。倒せそうにないわ。
稲妻は船貫くことなさそうだから問題ないけれど、魔法って使用制限あるのかしら?
ポンポン連発して、弾制限ないのかしら。弾切れ待っているんだけれど、一向にその気配ないわねぇ。もう五分経つのに……魔法って面倒ね。流石にキツいわ。
ああ畜生、博士のだったら1日の回数制限決まっているのに! ダ○ソみたいに!
「……良いことを思い付いたぞ」
魔法使いがニヤリと嫌な笑みを浮かべると、稲妻を私ではなく、生徒達に向けて放った。
落下地点は不細工な娘……ならいいか。
悲鳴をあげて崩れ落ちる不細工な娘と、唖然と私を見る魔法使い。
何よ、何よその目は。
「……守らないのか」
「命張る義理ないし?」
私は、私が傷付かない範囲でしか守らないのよ。
そりゃあ家族や友人のためなら命張るけど、赤の他人はねぇ……。それにあれ、無駄に偉そうでみんなから嫌われてたし。
おいそこの男子、ガッツポーズするんじゃあない。守らなかった私が言うのもあれだけど、不謹慎よ。
「ふん、これだから王族は」
「王族? 関係ないわよ。貴方だって、無関係の人の為に命を張れないでしょ?」
私が言ってやると何も言い返せなかったのか、稲妻の数が増えた。まあそれも避けるんですけど、楽勝です。
おっ、いいロープゲット。これで勝つるわね。
適当に縛ってー、これでやれるかしら?
「そいやー!」
私は魔法使いに向けて剣を投げる。魔法使いはそれを稲妻で打ち落とそうとする。
ああっ、ビリッと来た! でもロープは離さない。もういい加減食いたいのよ、飯を!! だからお願い、これで死んで!
「ふん、何処を投げている!?」
魔法使いの横を飛ぶロープ。ふははは、それこそが失敗というものなのよ!
「ヒャッハー!」
ロープを一気に引くと、落ちようとしていたロープは若干傾いた状態で私の方に戻ってくる。
そう、魔法使いの横を通過して。
魔法使いの頬を刃が掠める。あらら、首、落とせなかったわね。
私が次撃を仕掛けようとしていると、不意に横から、海賊の叫び声が。
「おいそこの男女、これを見ろ!」
「バッ、バルカ様……」
「アリーシュ!?」
そこには、海賊刀を首に押しつけられているアリーシュの姿。
また人質に取られているのか、アリーシュ!