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第三十一章 偏執愛②

【前回までのあらすじ】

さらわれたアンジェを助けに向かった黒狼ルゥ(ルーク王子)は、異母兄ギルバートが自分と同じように黒狼として生きていたことを知ります。アンジェをめぐる決闘をしていると狩人が現れ、黒狼ルゥは銃弾を受けて滝つぼへと落ちてしまい……


聖女狩りの男らに捕まったアンジェは偶然訪れたフェルゼン王子に救助されますが、彼は一目惚れしたアンジェを口説きまくります。また黒狼ルゥのフリをした黒狼ギルバートはアンジェを独占したくなって……

黒狼ギルバートの熱い舌が、いきなりアンジェ(川野)の口の中に入って来た。



「ん……っ」



アンジェ(川野)が顔を動かして、入れられた舌を外そうとするが、黒狼ギルバートの前肢が彼女の肩をしっかり押さえつけている。



彼女には唇を閉じさせる隙を与えず、黒狼ギルバートは長い舌で彼女の口内の粘膜を上から下まで丹念になぞり、彼女の口内の輪郭から喉元まで、獣の唾液で埋め尽くしていく。



アンジェ(川野)の唇から、黒狼ギルバートの唾液がすーっと(あふ)れて(したた)り、彼女の喉元が彼の唾液を流し込んだのかゴクリと鳴る。



いままで側にいて薄れていた甘い香り。

それが、アンジェ(川野)の口の中には香りだけではなく、舐めても舐めても尽きることのない甘美な蜜のような唾液が滲んで覆われている。



彼女の甘い舌、口内の美味な甘味を味わうのが止められず、舐め続けていくうちに、黒狼ギルバートの脳髄が麻痺してきて、夢見心地にさせられた。



(フェルゼンが知らないお前の内側、この甘美な味わいは俺のものだ……この唇も、この舌も粘膜も全て俺の……)



アンジェ(川野)は顔を真っ赤にし、必死に彼の大きな頭を押し返そうとするが、黒狼ギルバートの力が強く、太刀打ちできない。黒狼ギルバートは彼女が嫌がっていることを無視し、嫌がることすら愛おしく刺激的に感じられ、ますます征服欲を掻き立てられた。



突然、アンジェ(川野)が身体を震わせ、大粒の涙を頬に滴らせ、うっうっうっと泣き始めたのを見て、黒狼ギルバートは、恍惚感に浸るのを止め、微かな憐みの情を覚え……舌を引き抜いた。



「……ひ、ひっ、ひどぉい……ルゥ、こんなのひどいじゃない……昨日、置いて行ったのを怒ってるんでしょ……だからって、こんなの……最近のルゥは乱暴すぎる……いきなり噛みついたりするし……ずっと会えなかったから、その反動で、こんなことするの? 今までのルゥは、チュウしてって、何度か、おねだりする程度だったのに……」



そこで、弟ルークの名が出た瞬間、ギルバートの全身の毛が、ぶわっと逆立った。



(ルークも、俺と同じことをしていたのか? あいつも、この唇を舐めまわし、アンジェの口の中に舌を入れ、甘美な蜜を味わっていたというのか!! )



黒狼ギルバートに渦巻く嫉妬がむくむくと膨れ上がり、怒りは逃げ場のない憎悪となって彼を突き動かした。



「グゥワアッ!」  



黒狼ギルバートは、怒りの叫びを発すると、アンジェが着ていた夜着のドレスの裾を、鋭い牙で噛み切った。



ビリッという無残な音が部屋に響く。



「ルゥ!? どうしたの、急に……!」



混乱するアンジェ(川野)に対し、ギルバートはさらに低く唸り、威嚇するように牙を剥いた。



俺のアンジェに触れる奴も、甘美な蜜を奪う奴も、断じて許さない。

彼女の記憶ごと噛み砕いてやりたいという衝動が、黒狼ギルバートを支配する。

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