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第二十一章 「拮抗する想い」①

---ダンテス・クレイモン伯爵領 オルドリア正教教会近く 花火打ち上げの30分前---



ルークとアンジェ(川野)が広場で語り合っていた頃、教会の近くでは2組の騎士が剣と剣で火花を散らしていた。

ジャンの抜剣の金属音が静寂を切り裂く。



護衛騎士の二人と、 後から追いかけてきた聖騎士ジャンとガイの二人が激しく斬り結ぶ。



「偽物の皇女に飼われた猟犬どもめ! いますぐ崇高な正義の元にひれ伏せば許してやる」



「イカれた聖騎士の分際で、ほざくな……うりゃぁぁあぁっ」



「うおおおぉぉっ……」



聖騎士ジャンの咆哮と共に、大剣が空気をグゥワァァァッと引き裂かれ、護衛騎士の剣とぶつかる。

護衛騎士が聖騎士ジャンに目掛けて打ち下ろす剣が外れ、凄まじい質量で石畳に当たると、夜の闇に火花が散った。



カチン、ギィン……


カァァァーン……ガキィーン



「くそぉっ……アンジェに危害を加えるやつは、逃さないっ!! 」



ガイは渾身の一撃をこめて剣を振るう。

アンジェを殺そうとする全ての者への怒りと憎しみが、彼の剣を研ぎ澄ませる。



ガキィーン……ゴォッン



ガイの刺突が、護衛騎士の隙を突き、護衛騎士の剣が弾き飛ばされた。

剥き出しになった喉元へ刃を突き立てようとしたその時、一瞬、ためらったガイの横からジャンの大剣が割り込み、一刀のもと袈裟斬り。



「うううぅぅっ」と倒れた護衛騎士の傷口から溢れ出した鮮血が、石畳へ、そして聖騎士たちのマントへ飛び散る。



続いてもう一人の護衛騎士が、及び腰になったところをジャンは見逃すことなく、ズサァァッと深く斬り伏せると、倒れた彼は「くうぅ……っ……」と呻き声をあげ、握っていた剣から、するっと指を離した。



石畳に横たわった騎士たちは、ピクリとも動かない。

騎士たちの身体に下に、血だまりがじわじわと広がっていく。



「お見事です、ジャン」



返り血を顔に浴びたガイが、荒い吐息と共に剣を鞘に収める。

その目は獲物を追う獣のように血走っていた。



「おう、お前も早く一人前の騎士になって、応戦できるようになれよ、ガイ。剣の重さが足りてねえ……よし、行くぞっ、ガイっ!! 」  



護衛騎士を斬り捨てた二人は、死体もそのままに、部分的に崩壊している教会の中へ駆け込んだ。



ガイは今度こそ、アンジェに会える、その興奮で教会の中を見回し叫んだ。



「アンジェ、 アンジェー、 どこっ、 どこにいるのっ! ! 」

ガイの絶叫が教会の中に虚しく溶けていく。  



教会の隅に避難している領民たちは突然現れた聖騎士を前に、身動きせず、一塊になっている。

領民の奥の影から、静かに憤然とした気配を持つ者、治癒魔法師のバルジャンが現れた。



バルジャンは侵入者を拒絶する瞳の色をたたえ、聖騎士ガイたちの行く手を阻むように、目の前へと立ち塞がった。


 

「いきなりやってきて、なんなんですか、あなたたちは!! 」

いつも温厚なバルジャンの声が鋭く険しい。

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