意味は、遅れてやってくる
ここまでお読み頂きありがとうございます。
世界は、
まだ結論を持たない。
《確定処理:未実行》
《評価:保留》
それは、
迷いではない。
結論を
急がないという
選択だ。
⸻
朝は、
いつも通り訪れる。
光は差し、
風は流れ、
人は目を覚ます。
だが、
世界は知っている。
「同じ朝」は
もう存在しない。
昨日と同じ構造で
始まっても、
同じ意味には
ならない。
⸻
澪は、
家を出て
一度立ち止まる。
進む方向は
決めていない。
それでも、
迷ってはいない。
「……あとで考えよ」
そう言って、
一歩を踏み出す。
世界は、
その一歩に
理由を付与しない。
《行動:未意味化》
⸻
街では、
些細な選択が
積み重なる。
早く店を開ける者。
今日は休む者。
いつもと違う席に
腰を下ろす者。
誰も、
“正解”を
気にしていない。
世界は、
それを異常としない。
《最適化:非適用》
⸻
恒一は、
高台から
街を見下ろす。
混乱はない。
崩壊もない。
だが、
確かに
制御は効いていない。
――やっとだな。
世界は、
まだ自分で
歩けない。
それでも、
手を離したまま
進み始めている。
⸻
昼。
澪は、
見慣れない露店で
果実を買う。
味は、
少し酸っぱい。
「失敗したかな」
そう思う。
だが、
全部食べる。
世界は、
その判断を
修正しない。
《評価:未確定》
⸻
午後。
街角で、
言い争いが起きる。
結論は出ない。
誰も、
世界に答えを
求めない。
「今日は
ここまでにしよう」
その言葉で、
場は解散する。
未完のまま、
時間が流れる。
世界は、
その未完を
抱え込む。
⸻
夕方。
澪は、
丘を見上げる。
昨日は
登った場所。
今日は、
登らない。
それだけだ。
だが、
「登らなかった」という
事実は残る。
世界は、
それを消さない。
《非選択:履歴保存》
⸻
恒一は、
静かに息を吐く。
意味は、
まだ生まれていない。
だが、
生まれるための
余白がある。
それが、
何より重要だ。
――意味は、
後から追いつく。
⸻
夜。
灯りがともる。
誰かの選択で
灯った灯り。
誰かの選択で
灯らなかった灯り。
世界は、
それらを
同じ重さで扱う。
初めて、
差を急がない。
⸻
世界は、
理解し始めている。
意味とは、
選んだ瞬間に
完成するものではない。
振り返られ、
繋がれ、
語られたときに
初めて
形になる。
だから今は、
語らない。
急がない。
選択だけが、
静かに
積み上がっていく。
それでいい。
この世界は、
ようやく
待つことを
覚えたのだから。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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