思い出の曲をオルゴールで
「なろうラジオ大賞7」応募作品です。
エッセイです。
私は、手のひらに収まる小さなオルゴールをずっと持っている。
持っているというよりは家の引き出しにずっとしまってあるという方が正しいだろう。
オルゴールはいつどこで買ったのかは全く覚えていないが、オルゴールの曲は「ライムライト」でこの曲が聞きたくて、オルゴールを買ったのを覚えている。
「ライムライト」を聞くと私は少しだけ昔に帰ることができる。
私は中学の頃、器械体操部で床の規定曲である「ライムライト」を毎日聞いていた。
部活は楽しさ1苦しさ9だった気がする。
走るのが大好きだったのに陸上部がなくて、流れ流れて私は器械体操部に入ったが、3年間部活を続けたことを今では宝物のように思っている。
楽しさ1だったけど。
多分、経験値は1000000くらい。
ガラクタが時間をかけて宝物になる時があるんだな。
その宝物は形のないものだから、オルゴールという形で私はずっと持っていたいのかもしれない。
ネジを回す。
奏でるメロディーが私を幼くさせる。
部屋にほんのり響かせて。
昔に帰る曲を。
思い出の曲をオルゴールで。




