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猫だって哲学する  作者: 夕暮れの家


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9/9

猫生が辛い

猫生が辛い。


朝ご飯を食べるとき。あいつが出て行った後、部屋で一人で寝るとき。あいつが帰ってきて吾輩を撫でるとき。夜ご飯を食べるとき。すべてが辛い。猫生が辛い。


辛すぎて少ししか寝られていないような気がする。


猫生とは、なぜこんなにも辛いのか。人間にはわかるまい。猫生とは辛いものなのだ。




絶望に沈み数日を過ごしていると、吾輩を連れてあいつが病院というところに連れて行きやがった。


チクッとするものを刺される。


ああ、なぜこうも猫生とは辛いのか。




あいつが心配そうな顔をしながら今日も縄張りから出て行った。


以前は心休まった静かな空間が、吾輩の心を締め付ける。


なぜこうも猫生は辛いのか?


ああ、誰かに答えが聞きたい。




夢を見た。野良時代に外で狩りをしていた頃の夢だ。あの時代は食うに困ったが、こんなことで悩むことはなかった。


起きてからふと思う。


にゃむにゃむ。


猫生が辛いのではなく、辛いことが“起きている”のではないか?


猫生全体が辛いものだと思っていたが、過去に辛くないことがあった。




にゃむにゃむ。


よく考えると、一日の中でずっと辛いというのは、自分がずっと辛いと“考えている”からではないか?


よく考えるべきである。




まず朝、辛い。


なぜか? あやつが起きないからだ。吾輩の朝飯の時間だというのに、のんきに寝ているから辛いと感じてしまう。


にゃむ。


起こせばいい。叩き起こせばいい。この爪で切り裂けば嫌が応にも起きるだろう。


にゃむ。


解決だ。


朝、あやつが縄張りの外に出ていく。これを辛いと思っていたが……


にゃむ。


よく考えれば辛くない。一日中うるさいより静かな方が好きだ。


にゃむ。


あやつが撫でてくるのが辛い。これは撫でられなければいい。ひっかけばいいのだ。撫でても良いときは好きにさせてやろう。


にゃむ。


夜ご飯が辛い。これは吾輩がご飯を食べたいと思ったタイミングでご飯が出てこないから辛く感じるのだ。催促すればいい。ご飯が出てくるまで暴れてやろう。解決だ。




にゃむにゃむ。


つまりこういうことだ。猫生が辛いと漠然と全体を辛いと思っていたのがいけなかったのだ。


具体的にどこが辛いのかを追求しなかったのがいけなかったのだ。


全体的に吾輩は、あやつに振り回されている現状に不満を持っていたのだ。


ならば自分から行動を起こし、あやつを振り回せばいいのだ。


いつからか、“良い猫”をしようとしていたのかもしれない。




にゃむにゃむ。


辛いは細分化し、根拠を深く洞察する。そして本質的な問題に気付く。本質を知ることで対策を取れるようになる。そこまで行けば、自分をコントロールできるようになる。




にゃむにゃむ。


一度気づいてしまえば解決は容易だったな。


とりあえず、あやつが帰ってきたら爪を立ててやろう。ちゅ〜るが欲しい気分である。

お読みいただきありがとうございます(*'ω'*)

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