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セフレ・アイドル  作者: 055ジャッシー
第五章「嫉妬」
39/57

姉妹喧嘩

「あなたも……参加していいのよ」


 ――えっ?


 酒匂梅子と彼女のアパートで関係を持っていた所へ突然、桂がやって来た。だが梅子は行為の様子を桂に見せるなどと言い出し、桂も自慰行為をしながら僕と梅子の行為を見ていた。

 そこへあの発言……桂は梅子の言葉を聞くや否や、まるでゲートが開いて一斉に飛び出す競走馬の如く僕に飛びつき、そしてディープキスをしてきた。


 これって俗に言う「3P」じゃないのか!? 男なら誰しも憧れるシチュエーションであろうが、実際に目の前で……しかも予期せずこの様な状況が起こると期待より不安が上回ってしまう。

 その後も桂は、理性を失ったかと思う位激しく僕に当たって来た。僕の手を取ってそのまま自分の胸を揉ませたかと思ったら、今度は仰向けになって梅子と交わっている最中に、僕の顔にまたがり股間を押し付け……ここまで激しく、そして積極的な桂は初めて見た。


 何なんだ一体!? 梅子との行為を見せつけられ、禁欲状態から解放された事による暴走か? だがこの後、僕は桂の「ある感情」に気付いてしまった!

 梅子が僕の身体に触れようとすると、それを制するかのように桂も同じ行為をして来たのだ。それはさながら、姉に玩具を奪われた妹が、癇癪を起こしてそれを奪い返そうとする姉妹(きょうだい)喧嘩の様相だ。


 ――どうしてこうなった?


 これは3Pと言うより……喧嘩(バトル)だ! しかも玩具を真剣に奪い返そうとしているのは桂の方! 梅子はというと、その状況を明らかに楽しんでいる様にも見える。

 所謂3Pなら、男は相手の女性に対して出来るだけ「平等に」扱おうとするに違いない。だが今回の場合はその心配は不要だ。何故なら……


「いいわよまっくん、桂ちゃんの中に出しちゃって」


 僕は桂の中で果てた。だがこれは僕の意思……ではなく全て梅子のコントロールによるものだ。僕と桂は、完全に「梅子の術中」にはまっていたのだ。


 あ、もちろん桂はアイドルで間違いが許されない存在……避妊具(コンドーム)は付けている。



 ※※※※※※※



 異様ともいえる3Pが終わった。快楽より緊張感が大きくとても疲れている。こんな行為、二度としたくない……と、()()()()()()そう思っていた。


 僕たち三人は行為後の余韻に浸って……いや折り畳みのシングルベッドで三人は無理だ! 僕と桂はベッドの上で抱き合うように横たわり、梅子は全裸のままちゃぶ台の座布団に座ってビールを飲んでいた。

 桂は余程疲れたのか、僕の上に半分体を乗せる様な形ですやすやと寝ていた。季節は夏本番に突入する前……暑くないのかな?


「どうだったまっくん、3Pは? 初めてでしょ?」

「二度とゴメンだよ! メッチャ疲れたわ」


 僕はビールを飲んでいる梅子と会話していた。僕も飲みたかったが、気持ち良さそうに寝ている桂を無理に退かして移動など出来ない。

 こうなる事を予想したのか……桂はここに来る前、コンビニでエナジードリンクを大量に買い込んでいた。梅子が居るちゃぶ台の上には、ビールと一緒にエナドリの空き缶も大量に置かれていた。


「でさぁ、桂ちゃん何考えてたか……まっくん気付いたでしょ?」

「あぁ……」


 いくら僕が鈍感でも流石に気付いた。だがこれは素直に認められない。桂が持っている感情、それは……



『嫉妬』だ!



 たぶんこの感情は桂自身も気付いていないだろう。しかし梅子が僕と接する事を桂はあからさまに嫌い、そして梅子から奪い返そうとしていたのだ。

 梅子もそれを理解していた……いや、むしろ桂からその感情を引き出す様に(けしか)けていたのだ。


 でも……これはおかしい! 有り得ない感情だ。


 何故なら僕と桂はセフレの関係だからだ。二人を結ぶのはセックスのみ、後腐れないドライな関係が要求される。

 極端な話、今日みたいに目の前で僕が梅子とセックスしようが桂には関係無い筈だ! 事実、桂もそれを許していた訳だし……。


 なので「嫉妬」はセフレに必要ない感情だ! 嫉妬とは一般的に、自分より優れた者に対する妬みや嫉みの事を言う。

 だが同時に嫉妬とは、恋愛において好きな人が他者に愛情が移ってしまう事を嫌い、その他者を憎む感情……所謂「やきもち」の事も意味する。


 桂の嫉妬心が「自分より優れた者への妬み嫉み」だとしよう。実際、風俗嬢の経験がある梅子はセックスのテクが桂より上だ。今回はその劣等感が桂の嫉妬心に繋がったとも考えられるが……。

 だが行為の最中に梅子が僕に触ろうとすると、それを片っ端から桂が制してた事実はどう説明すればいいのだろうか? これは、桂が僕に対して『恋愛感情』がある……という事なのか!?


 だとしたらこれは不味い状況だ。何故なら僕は……



 ……恋愛をしたくないからだ。



 でも桂は用心深くドライな性格……僕の思い違いであって欲しい。


 桂は僕の隣で子どもの様な寝顔をして寝ている。そんな桂を、梅子は目を細くして見守っていた。

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