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セフレ・アイドル  作者: 055ジャッシー
第五章「嫉妬」
38/56

NTR

 梅子のアパートに、合鍵を使って桂が入って来た……えっ、何で?


 僕は酒匂梅子と二度目の関係を持った。だがラブホが満室だったため急遽梅子のアパートに変更したので、僕たちがここに居る事は誰も知らない筈……あっそういえばさっき梅子が「特別ゲスト」と言っていたのは、


「そう、私が桂ちゃん呼んだのよ」


 ちょっと待て! 普通、セックス中に他の人間を呼ぶか!? 今、僕と梅子は裸のままベッドで抱き合っている。その場所へ桂が乗り込んで来たのだ。

 まるで正妻に、言い逃れ出来ない浮気現場を押さえられた気分だ……双方セフレだから問題無いとはいえ、この状況はとても気まずい。僕が桂に視線を向ける事が出来ず焦っていると、


「何焦ってるの? 私、()()()()()だけだから……気にしないで続けて」


 桂がとんでもない事を言い出した。いや出来る訳無いだろ!? セックスは見世物じゃない。僕がこの二人とそれぞれ関係を持っているにしても、双方が鉢合わせになるのはおかしい!

 しかも今は梅子が裸になっているのに対して桂は普通に服を着た状態……しかも無表情だ! いつもの笑顔は全く無い、怒っているのか思い悩んでいるのか……今の桂の表情からそれを窺い知る事は出来ない。


「冗談じゃない! こんな状況で続けられる訳ないじゃないか! 帰る!」


 こんな状況……異常だ! AVの撮影現場やストリップのまな板ショーじゃあるまいし、一般人が第三者の前で性行為なんて出来る訳無いだろう! 僕は怒って帰ろうとしたが……あれ? 服が無い。


「ふっふーん! こんな事もあろうかと思って、服隠しておいたんだー」


 ――なっ!? 梅子は僕の行動を予測していやがった!


「まっくん、さっき私に聞いたよね? 最近桂ちゃんが変だって……この子、私が元風俗嬢なの知ってるから引け目を感じてるのよ」

「ちょっ、梅ちゃん!」


 今まで無表情だった桂が慌てた表情になった……どうやら図星らしい。そうか、やはりそれで悩んでいたのか。


「だからね、いっその事私のテクを教えちゃおうかなって……ね、こうすれば平等だし桂ちゃんもストレス感じないでしょ? まっくんお願い、協力してね」


 いや、この行為が平等かどうかは甚だ疑問だが……桂がそれで納得するならやぶさかでない。


「それに……あ、いや何でもない! とっとにかく論より証拠! 桂ちゃんは私がやる事をちゃーんと見てね」


 梅子が何かを言おうとしたがすぐに言葉を濁した。一体何を言おうとしたのだろうか? あと、この状況は「論より証拠」と言うより「百聞は一見に如かず」が近いと思うが。

 桂の目の前で梅子は、僕の身体のあちこちを(まさぐ)ってきた。所謂マグロ状態の僕はまるで実験動物にされた気分だ。隣には普段着の桂……これは実験動物と言うよりも、公開処刑されていると言った方が適切かも知れない。


「どう? 気持ちいい?」

「い、いや……緊張しちゃって」


 僕がそう答えると、梅子は何かに気が付いたように


「桂ちゃーん、その格好だとまっくん()()()()みたいだよー」


 いやそういう意味じゃ……だが梅子の言葉を聞いた桂は、何か気付いた様に慌てて服を脱ぎだした。そして全裸になるとベッドのそばに座布団を敷き、僕と梅子の行為をじっくり眺め出した。

 いや余計に緊張するわ。ベッドの上では僕の身体を弄る梅子、傍らには一糸まとわぬ姿で座りこちらをじっと眺める桂……。


 心理的にはとてもじゃないがセックスなど出来ない状況。だが梅子のテクはかなりのもので、肉体的には不本意ながら反応してしまった。

 僕は桂の顔をちらっと横目で見た。桂は真剣に僕たちの行為を見ているが、彼女の表情を見た僕は罪悪感で一杯だった。桂の目の前で他の女とセックスする……彼女に対して何か申し訳無い気持ちがあったのだろう。


「あ、あの……」


 僕は思わず桂に声を掛けてしまった。ところが桂は僕の呼び掛けを無視し、僕に向かってこう諌めて来た。


「駄目よ、今は梅ちゃんとのセックスに集中して!」


 そう……ここで僕が何の反応もしなければ、今度は梅子に対して失礼に当たってしまうのだ。だが今の僕は、梅子に対する「失礼」よりも桂に対する「罪悪感」の方が上回っている気がする。それに……

 桂の様子も変だ。冷静に僕と梅子の行為を見ているのかと思いきや、体を小刻みに震わせ今にも怒り出しそうな……いや、尿意を我慢している様にも見える。いずれにせよ、何らかの感情が爆発する寸前……といった感じだ。


 そしてついに……桂の感情が爆発した。桂は自分の股間に手を当てると指を回すように動かし始めた……これはどういう状況だ!?

 僕は梅子とセックスをして、その傍らで桂が自慰行為……余りにもカオスな状況に、僕は自分の頭の中が整理出来なくなっていた。


 その時! 僕の上に馬乗りになっていた梅子が桂に話し掛けた。


「はぁ……桂ちゃん……はぁ……あなたも……参加していいのよ」


 ――えっ?

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