表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
セフレ・アイドル  作者: 055ジャッシー
第五章「嫉妬」
37/56

ご本人登場


「ふぅ……」


 湯上りで火照った僕は、夜風に吹かれ全身の余熱を取り除いていた。ここは銭湯の前……そう、僕はさっきまで銭湯に入って居たのだ。なぜなら……


「お待たせ―」


 遅れて銭湯から出てきたのは……酒匂梅子だ。



 ※※※※※※※



「いやー残念だったね! 夢の世界から急に現実へ戻っちゃったけど」

「別にいいよ……現実(こっち)の方がしっくりくるし」


 ビルの最上階にある高級レストランで、僕は梅子とディナーを楽しんだ。しかし僕と梅子は夫婦でも恋人でもない、言わばこれは疑似デートといった所だろう。

 そしてここからはセフレの関係……でも桂の事もあり、僕は梅子との関係を解消するか悩んでいた所、見事彼女の術中に陥ってしまったのだ。


 僕は再び梅子のアパートを訪れる事になった。夢の世界から現実……とはこの事である。当初はラブホに行くつもりだったが、何故かこの日はどこも満室で入れなかったのだ。

 そこで仕方なく再び梅子のアパートへ……という事になったが、流石に前回の様なシャワーも浴びず成り行きで……というのは抵抗がある。そこで風呂の無い梅子のアパートへ行く前に、銭湯で体を流そうという話になったのだ。


「こうやって銭湯から一緒に帰ると『神田川』みたいだねー」

「えっ、何それ?」

「まっくん知らないのー!? 有名な曲だよ」


 そんな会話をしながら、僕は梅子のアパートを再び訪れた。


「まっくーん、何か飲む?」

「あっはい」


 部屋に入って早々、梅子は冷蔵庫から缶ビールを取り出した。うわっ、これってプレミアムビールじゃないか!? どう見ても僕の住むアパートより家賃は安そうだけどビールは高級品だ。さすが食に拘りを持っているだけの事はある。


「あぁ美味しい! やっぱ風呂上がりの一杯はこれだね」


 梅子は上機嫌でプレミアムビールを飲み干すと


「ねぇ、そろそろ……しよっか?」


 部屋の照明を常夜灯に変えた。



 ※※※※※※※



 狭い1kのアパート……部屋の奥に置かれた折り畳みベッドの上で、僕は梅子と二度目のセックスを終え余韻に浸っていた。

 それにしても……梅子のセックスは滅茶苦茶エロかった。と言うより何だったんだあの()()は!?


 前戯の時、梅子は今まで経験した事が無い様な攻め方をして来た。僕は完全に受け身……所謂マグロ状態だったが、何度もイキそうになりその度に自身を抑制するのが精一杯であった。


「まっく~ん、何度もイキそうになってたねぇ」


 どうやら梅子には見透かされていた様だ。


「うん、滅茶苦茶気持ち良かったけど……何で?」

「あーそう言ってくれるの嬉しい! 実はね……」


 梅子は満足げな顔をして「白状」した。


「私ね、今のお仕事する前は……風俗で働いてたのよ」


 そういう事だったのか! 合点がいったわ。


「所謂イメクラってやつ、そこでアニメとかのコスプレをしてたんだけど……」


 どうやら梅子はそこでアニメやドラマの登場人物、延いては演じていた芸能人に成り切る「ものまね」を覚えたらしい。


「元風俗嬢(プロ)のテクを無料で堪能出来たんだぞー、有難いと思え!」

「ははぁー!」


 そりゃ桂がどんなに頑張っても敵う相手では無いよな。と、そこへ梅子が予想外の事を聞いてきた。


「ところでさぁ……まっくんって彼女とか奥さんいるの?」


 いや居る訳無いでしょ! 彼女や妻が居るのにセフレなんか作ったら、それってもう浮気か不倫だよ。


「居たけど……二年程前に別れたよ。それ以来……」

「えっ何で? 何で何で何でー!?」

「いや、それは……」

「えー! 今後の参考のため、お姉さんに教えなさーい」


 梅子がしつこく聞いてきた。


「絶対に聞きたーい! 教えなかったらこのまま監禁して、睾丸空になっても無限に抜いてやっからなー!」


 えっそれご褒美……いや、苦痛だな。


「……わかったよ」


 本当は言いたくなかったのだが、梅子が余りにもしつこいので話すことにした。



 ※※※※※※※



「そっ……そんな理由だったんだ」


 僕が元恋人と別れた理由を話すと、梅子は真顔になってうつむいた。


「ごめんなさい! 私、聞いちゃいけない事聞いちゃって……」

「ん、まぁいいけど」


 この事はもしかすると、誰かに聞いて貰いたかったのかも知れない。意外にも梅子に話した事で、少し楽になった様な気がした。


「でもそれって……桂ちゃんには話さない方がいいわね」

「あ、僕もそう思ってる」

「私もあの子には内緒にしておくわ」


 そう、僕が元恋人と別れた理由は……桂には絶対に話せない。


「そういえば……桂の話が出たついでに相談したいんだけど」

「えっ、何?」

「梅子とセフレになってから、桂の様子が変なんだよ! 何かこう……あなたと比較するように……」


 その言葉を聞いた梅子はニヤッと笑い


「あぁそれ? だったら今から来る()()()()()に聞いてみれば?」


 何だ特別ゲストって? すると玄関の扉がガチャガチャと音を立て、誰かが部屋に入って来た。



 ――えっ!?



 入って来たのは何と……桂だ!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ