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セフレ・アイドル  作者: 055ジャッシー
第五章「嫉妬」
34/57

桂の変化

「ねぇ、朝まで予定無いんだよね? だったらこのまま泊っていきなよ」


 初めからそのつもりだな? だから僕の予定を聞いて来たのか。


 僕は酒匂梅子と関係を持ってしまった。今は折り畳みベッドの上で抱擁しながら一緒に寝ている。だがラブホと違ってベッドは狭いしシャワーも無いし……環境としては決して良いとは言い難い。


「いやー、ひっさしぶりだから燃えちゃったわぁ」


 それにしてもこの女性(オンナ)……めっちゃエロい! シャワーを浴びていないにも拘わらず、そんな事お構い無しにと常識外れな事をして来やがった! 見た目は地味子で男性経験少なそうに見えるが……これも人生の経験値が為せる業なのか?


「あの、梅子……さん」

「梅子でいいわよ! 私の方が年上だけど気にしないで」

「じ、じゃあ……梅子、ひとつ聞きたい事があるんだけど」


 狭いシングルベッドの上、寝返りを打ったら落ちてしまいそうなので自ずと抱き合ったままになる。今は六月の終わり、彼女の体温が直に感じられるので本音を言えば距離を置きたい位暑い。

 聞きたい事は二つ……ひとつは僕と桂の関係を知っていながら、何故僕と寝ようと思ったのか? セフレの関係とはいえこの行為は明らかにNTR(寝取り)だ。桂をリスペクトしていると言ったクセに、これはある意味真逆の行為であろう。

 もうひとつは、このNTRを桂が承諾しているという事……これが一番信じ難く、且つ理解出来ない。だがこれは梅子が勝手に言ってるだけで、実は嘘ではないかと僕は疑っている。


「もぅ……キミは疑り深いなぁ」


 そう言うと梅子はベッド下に置かれたバッグからスマホを取り出した。


「ほら! これが二つ目の答えよ」


 梅子が見せたのは、桂とのニャインでのやり取り……そこには確かに、梅子が僕とやりたいと言って桂が『いいわよ、がんばってね』というやり取りが残されていた。ニャイン上で桂は、ニックネームの「k」の名前で登録している。アイコンも本人の物で間違いない。


 まぁ確かに、セフレだから束縛するのは逆におかしいけど……この人は一体何考えてるんだ?


「一つ目の質問はね……それはヒ・ミ・ツ!」

「何だよそれ……」

「あぁもちろん、私が鶴見君に興味があったってのが一番の理由よ! でもね、前にも言ったでしょ? 私があの子(桂)をリスペクトしているって……」


 いやそれと寝取りと何の関係が……?


「私もあの子の過去は聞いてるわ……だからね、あの子には幸せになって欲しいと願ってるのよ! でもあの子は()()()()()に意外と鈍感だから、私が一肌脱いでやろうと思ったの……ま、今は全部脱いじゃったけどね、てへぺろー!」


 ますます意味がわからなくなった。どういう事? この酒匂梅子という女は一体何者なんだ? まぁ少なくとも、僕や桂にとって味方……だと思いたいのだが。


「あのさぁ、私とこうやって抱き合ってるのに他の女の話をしてくるキミもある意味鈍感だよね?」

「あっ、あぁごめんなさい!」

「まぁいいけどね、相手は桂ちゃんだし……」


 慌てふためく僕を見て梅子はクスクスと笑った。



 ※※※※※※※



「どうだった梅ちゃん!? 彼女えっちな体形してるから興奮したでしょ」


 僕が梅子と関係を持ってから一週間程……今度は桂と密会している。


 今こうしている間、梅子は桂……いや相模絵美菜に成りすまし、関係ない場所でイヌスタ用の写真を撮っている。

 梅子の話だと、この時は相模絵美菜と似ているか似ていないか微妙なメイクをしているらしい。余りにも似過ぎていると声を掛けられるからだ。「あれってもしかして……びーなすかな?」位の感覚だそうだ。もし声を掛けられても「別人です」と言ってその場から逃げられるそうだ。

 そして彼女が店を去った後、相模絵美菜に成りきってイヌスタをアップする。そうすると現場を目撃した人が「あぁ、あれってやっぱびーなすだったんだ!」と印象付けられアリバイ工作が成功する……らしい。


 そんな梅子の努力の下、僕は国民的アイドルと逢瀬を重ねている……まぁ恋愛関係は無いが。だがこの日の桂は様子が少し違っていた。


「ねぇ……梅ちゃんはこんな事した?」

「梅ちゃん……もっと気持ちいい事した?」

「ねぇ、梅ちゃんの方が……もっと上手かった?」


 とにかくやたらと梅ちゃん(酒匂梅子)と寝た時の行為(テク)を聞いてきたのだ。いやそんな事聞かなくてもいいのに! 


「もういいよ!」

「えっ?」

「そんなに聞かれたら僕も集中できないし、桂には桂の良さがあるんだから気にしちゃ駄目だよ」

「そ、そう……ごっごめんなさい」


 明らかに様子が変だ……いつもの桂とは違う。しかしこの日の桂はめちゃくちゃ積極的に攻めてきた。正直言って最近は桂との行為もマンネリ化してきた気がするが、この日はとても充実したセックスが出来た。


 桂が何を考えているのか良くわからない。だが「酒匂梅子」という存在が、僕と桂との関係に変化を与えたのは間違いない。

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