表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
セフレ・アイドル  作者: 055ジャッシー
第二章「疑惑」
16/56

出来る訳がない

 ――僕は何をやってるんだ!


 セフレのk=相模絵美菜? に呼び出された僕は、彼女のプライバシーに踏み込んでしまった事を謝罪し、且つ真相を知りたいと思いここに来た。

 ところが、kは今日の事を何も無かったかのように振舞っていた。そんな彼女のペースにすっかり飲み込まれてしまい、気が付いたら僕はバスルームでシャワーを浴びていた。


 ――どうしてこうなった!?


「あらレイトくん、もういいの?」

「え、えぇ……」


 えぇ……じゃないよ! 僕は意志薄弱な自分が嫌いになった。シャワールームから出てきた僕を見た瞬間、kは待ち構えていたかのようにバスタオルを外し、


「……来て」


 僕の首に腕を回すとそのままベッドに倒れ込んだ。


 ――出来る訳がない!!


 ラブホに呼び出された時点で少しは予想していたが、今置かれた状況でこんな事出来る訳がない! 確かに()()()既に五回もセックスしているが、これがアイドルの相模絵美菜なら話は別だ。

 今日も握手会で彼女目当てのファンが行列を作っていた。全国規模で考えたら彼女のファンはこの何百、いや何千倍もいるだろう。

 恋愛禁止のアイドル活動……ファンの多くは彼女たちが恋愛未経験、そして処女だと思っているに違いない。先日の荒川夢乃による枕営業は、多くのファンに衝撃を与えた事からも推測出来る。

 ましてやびーなす(相模絵美菜)は清楚系キャラ、真面目で純粋なファンが多いことで知られている。こんな人たちの期待を裏切る事は出来ない。


「今日はね、生理前なの! だからもぅしたくてしたくて……」


 僕が躊躇していると、kは構うことなく積極的に攻めてきた。僕は所謂マグロの状態だ。kは普段と勝手が違う前戯でも、全く気にせず愛撫を続けていた。だが僕の緊張感はすぐ身体にも現れ、流石のkにもそれが伝わった。


「もうっ、今日は全然()()()()じゃん! どうしたのよ!?」


 それは自分が一番わかっているでしょ!? そう、僕は余りの緊張感に耐えられず勃起出来なかったのだ。

 さっきまでノリノリで前戯をしていたkの表情が、見る見るうちに不機嫌な顔になった。でもこの様な精神状態で勃起なんて出来る訳がない!

 何度も言うが、目の前に居るのはセフレではなく国民的アイドルだ! 僕みたいな一般人とは別世界の人間……重みが違う。すると業を煮やしたkがとんでもない行動に出た。


「せっかく泊まりにしたのにこれじゃダメじゃん!」

「そっ、そんな事言われても……」

「もう我慢できない! レイトくん、私、今からオナニーするから見てなさい」


 ――!?


 突然の事で僕は言葉を失った。だがkはそんな僕の事など意に介さず、ベッドの上で体育座りの様な姿勢になると、自らの手を陰部に押し当てた。


 ――これはどういう状況だよ!?


 例え男女の関係でも、自分の自慰行為を見せる事などそうそう無いだろう。彼女は何を考えているんだ? 僕が呆気に取られていると、


「ちょっと、何ぼさっとしているのよ! もっと近くで見なさいよ」


 kは機嫌の悪い声で僕の手を引き寄せた。僕がバランスを崩し倒れ込むと、目の前に彼女の股間がアップとなって現れた。


「はぁ……はぁ……」


 その後もkは自慰行為を続けた。僕の視界は、kが小刻みに動かす指と彼女の陰部に独占された。余りにも非現実な状況に僕は、彼女がアイドル……特別な人だという意識を失いかけてきた。


「ねぇ、今日は後ろから……して」


 僕の五感は全てkに支配されてしまった。気が付くと僕は……背後から彼女を抱きしめていた。



 ※※※※※※※



「あぁ、気持ちよかったー!」


 結局、kと行為に及んでしまった。そんなつもりじゃなかったのに。


「ほらぁ、ちゃんとやれば出来るじゃん……鶴見末吉(まっきち)くん!」


 ――げっ! ここでカミングアウトしやがったか!?


 セフレのkには本名を一度も告げていない。だが今日の握手会で()()()()()()()伝えている。


「や、やっぱり! びーな……」

「そう! 私はカンリバ(カントリバースの略称)のびーなす、相模絵美菜よ」


 やはりkの正体は相模絵美菜だった。


末吉(まっきち)くん! あ、まっくんって呼んでいいかなー?」

「えっ、いや……その」

「まっくん、今日は緊張してたねー! あっそれって私がアイドルだから?」


 ――当たり前だよ!


「でもさぁ……顔見なかったらちゃーんと出来るじゃん」


 ――!?


 そうだった! 彼女の自慰行為を間近で見てからのクンニ(シックスナイン)、そして後背位(バック)……

 よく考えたらその間k、いや相模絵美菜の顔を一切見ていなかった! そういえばいつもより照明も暗かった。まさかこの人、そこまで計算して……


「ね、わかったでしょ!? 私だって服を脱いだら()()()()よ」


 相模絵美菜……いや、kは僕を小悪魔の様な目で見つめた。だがすぐに不機嫌な表情になると、


「で……まっくんに聞きたいことが山ほどあるんだけど!」


 僕に詰め寄った……僕もkに聞きたいことが山ほどあるんだが。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ