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セフレ・アイドル  作者: 055ジャッシー
第二章「疑惑」
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決断

 ――セフレのkがカントリバースの相模(さがみ)絵美菜(えびな)!?


 いやいや、首筋にホクロのある女性なんて珍しくないだろう。例えkと相模絵美菜のホクロが()()()()()()にあったとしても……。

 そうだ、ポスターの印刷ミスかも知れない! それとも屋外の掲示物だから、虫が付いててそれと見間違えたのかも……?

 僕はありとあらゆる可能性を想像してk=びーなす(相模絵美菜の愛称)説を否定した。そりゃそうだ、もしこれが事実なら僕の人生を狂わす一大事だからだ!


 相模絵美菜は国民的アイドルグループ・カントリバースのメンバーだ。二ヶ月後には初のドームツアーが行われるが、既にファンクラブ先行販売でほぼほぼ全席が埋まってしまう程の人気グループである。

 そんなプレミアムチケットを売り捌けるスーパーアイドルが……セフレ? そんなの、幸福感(ラッキー)より恐怖感(アンラッキー)の方が何千倍も高いに決まってる!

 しかもグループにとって今は大事な時期だ。元リーダー・荒川夢乃のスキャンダルによって、いくつかのイベントそしてCMが中止に追い込まれた。その辺にいる知名度の低いアイドルグループなら間違いなく解散させられるレベル……彼女たちも今が正念場だろう。

 その様な時に他のメンバーがセフレ……バレたら流石のカントリバースでも解散は免れないだろう。そして騒動に関わった重要人物が……僕!? 当然僕はマスコミに追われ、ネットに正体を晒され就職活動も出来なくなり……


 ……僕の人生は、社会的に間違いなく終わる。


 絶対に僕の勘違いであってほしい! 幸いにもネットで探した「びーなす」の画像には首筋にホクロが全く見当たらない。良かった……でも!

 化粧が全然違っていたし、そもそも身近にアイドルが居るという発想自体無いので今まで全く気にしていなかったのだが……ベッドで僕の顔を押さえたkの表情、あれは一瞬だが「びーなす」に激似だった!

 僕はkが何者か知らないし、セフレ同士が余計な詮索をしてはいけない事も承知している。だが、これだけはハッキリと決断した。


 kが相模絵美菜の「そっくりさん」なら今の関係を続ける。だが、


 万が一彼女が「相模絵美菜」だったら……別れよう!


 でもそれにはkが相模絵美菜かどうか確認する必要がある。余計な詮索は御法度だが仕方ない。こればかりはセフレのプライバシーとして、一般人とは別次元の話なのだから!



 ※※※※※※※



 僕は机の引き出しから一通の封筒を取り出した。封筒の中には『握手会』の参加券が入っている。

 そう、カントリバースは国民的アイドルグループと呼ばれるようになった今でも握手会をしている。現在はファンの数が増えすぎ、また一部のファンによる参加券付きCDの大量購入や不法投棄という社会問題に配慮して、CD購入者の中から抽選という形をとっている。僕は運良く当選したので、握手会に参加出来るのだ。


 ――これで相模絵美菜が「k」なのか「赤の他人」なのか確認できる。


 方法はこうだ。握手会は参加者一人が一回のみ、推しのメンバーの一人と握手できる。抽選で参加人数が限定されているので、トップアイドルではあるがファン一人当たりの握手と会話ができる時間は十秒ほど与えられる。

 その間に彼女がkかどうか見極める。僕の顔を見てどんな反応するか? もちろん滅多な事は話せないので普通の会話に徹するが、その間に相模絵美菜の一挙手一投足をチェックするつもりだ。


 その上で、もし彼女がkだと確認出来たら……



 ――僕はもう二度と……kに会わない! セフレは解消する!



 あぁ、でも本当はぐりん(渡良瀬碧)と握手したかったんだよなぁ! 正直びーなすは推しじゃないから、彼女のために参加券使うのもったいないんだけど……。

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