強さ
男が去った後、俺はしばらくその場に立ち尽くしていた。心の中に渦巻く疑念と、未来への不安が拭いきれない。
テンザが近づいてきた。彼女の足音は静かで、気配すら感じさせない。そんなテンザの存在に、俺はこれまで以上に頼もしさを感じていた。
「考えすぎるな、アマス」とテンザが静かに言った。「あの男の言葉に惑わされるな。奴らはいつも甘い言葉で誘惑する。だが、その裏には必ず何かが隠されている」
「分かってる…でも、俺が何を求めているかも知らないで、どうしてそんなことを言うんだ?」
俺は自分でも驚くほど冷静な声で答えた。テンザは少し驚いた表情を見せたが、すぐに元の表情に戻った。
「お前が何を求めているかは、まだお前自身も分かっていないだろう。だが、その答えはお前の中にある。焦らずに探せばいい」
テンザの言葉は正しいかもしれない。しかし、サイテン王国の使者が言った「真実」と「目的」という言葉が、俺の心に深く突き刺さっていた。俺が本当に求めているものは何なのか――それを見つけるために、俺はもっと強くならなければならない。
「テンザ、俺はもっと強くなる。そして、自分の力で真実を見つけるよ」
そう宣言すると、テンザは満足げに頷いた。
「いいだろう。そのためには、さらなる訓練が必要だ。時空魔法はまだ始まりに過ぎない。お前にはまだ、学ぶべきことが山ほどある」
テンザはそう言いながら、俺に新たな訓練の内容を示した。次の課題は、時空の歪みを感知し、それを操る技術だという。テンザによれば、これを習得すれば、過去や未来の一瞬を垣間見ることができるらしい。
俺はその言葉に興奮を隠せなかった。過去や未来を知る力――それがあれば、自分の運命すらも変えることができるかもしれない。
「よし、やってみる!」
俺はすぐに魔力を集中し、テンザの指導に従って時空の歪みを探し始めた。しかし、その過程で何かが引っかかるような感覚があった。まるで、誰かが遠くから俺を見ているかのような――そんな不気味な感覚だ。
「テンザ、この感じ…何だ?」
テンザは眉をひそめた。「誰かが時空の彼方からお前を監視している。気をつけろ、アマス。お前の力に興味を持つ者は一人ではない」
俺はその言葉を聞いて、再び警戒を強めた。これからの訓練は、単なる学びではなく、俺自身の運命を左右するものになるのだろう。何が待ち受けているか分からないが、俺はこの道を進むしかない。
「どこからでもかかってこい…俺は必ず自分の道を切り開く!」
そう心に決め、俺は次なる訓練に全力で挑むことにした。




