サイテン王国の使者
テンザの言葉に、俺の緊張は一層高まった。ただの人間じゃない…? そんな警告を受けて、俺は男に向けて構えた手をさらに強くした。風魔法のエネルギーが指先に集中し、いつでも放てる準備が整っている。
「サイテン王国の使者だって? 何のために俺に会いに来た?」
男は依然として不敵な笑みを浮かべながら、ゆっくりと手を下ろした。敵意を見せるわけでもなく、俺を試すような目つきだ。
「君が持つその力、興味深い。特に、その時空を操る才能がね。我が王国は、そんな才能を持つ者を求めている。君の力があれば、国の未来を変えることができるだろう」
「未来を変える…?」俺は眉をひそめた。「俺に何をさせようっていうんだ?」
男は一歩近づき、低い声で答えた。「王国に仕えろ。君の力を使って、この世界を新しい秩序へと導くのだ。我々が提供するものは、ただの権力や名声ではない。君が求める『真実』と『目的』だ」
その言葉に、俺は一瞬戸惑った。真実…目的…。それは、俺がずっと探していたものだ。だが、テンザの警告が頭に響く。この男は本当に信じていいのか?
「アマス、決断は慎重にしろ」と、テンザが念を押すように言った。
「考えさせてくれ」と、俺は静かに返した。男は笑みを浮かべたまま、うなずいた。
「時間はたっぷりある。だが、覚えておいてほしい。君がどんな道を選ぼうと、その先には必ず『代償』が待っているとね」
そう言い残して、男は闇の中へと消えていった。俺はその場に立ち尽くしながら、未来の選択に思いを巡らせていた。




