008
アブソーバー達が中に入ってから十分程経ち、先程別れた隊員達が基地内に到着した。
先に入って来た隊長はアブソーバー達が要ることに驚きはしなかった。むしろ邪魔といったような顔をしている。
「おいおい、そんな顔すんなよ。別にそっちの邪魔をしに来たわけじゃないし。
俺らが何処で何をしようが勝手だろ? 飼われている野良犬なんだから」
アブソーバーは自分の首輪を指でトントンと叩きながら言った。
「あぁ、確かにその通りだ。こちらの仕事の邪魔さえしなければ、どうとでもしてくれ。
それで、ここに来たという事は、お前らも彼女に会いに来たんだろ? 彼女にはもう会えたのか?」
「いいや、まだだ。俺も今、基地内に入る為の許可証を貰ったばかりだからな。これから向かうよ。
ったく、何時になったら顔パスで入れるようになるんだ」
「そうか、それなら先に行くといい。我々も手続きをしなければならないからな」
「言われなくてもそうするよ。別にお前らなんか待つ義理もねぇからな」
アブソーバーがそう言うと、横の扉からエキラドネがひょこっと顔を出した。
「エキラドネも来ていたのか。珍しいこともあるもんだな」
エキラドネは隊長をジッと見たが、何も言わずに視線をアブソーバーに移した。どうやら早く行こう、と目で訴えているようだ。
察したアブソーバーは隊長に別れを告げるとその場から去った。