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エルドルト一同は今回の目的であるブラスフェミー第三支部のおよそ一キロメートル手前までやってきた。
「なぁ、ニアさん。何の作戦会議もせずにここまでやってきたけど、何か作戦とかあるのかい?」
ダレンは煙草を吹かしながら尋ねる。ニアはその質問に対して歩みを止めると首を傾げた。
「作戦? 私はそんな面倒なことは計画しませんよ。強いて言うならば正面から堂々と入り、目に入った者は全て鏖殺して帰るだけですかね」
ニアはそう言うとふふっ、と可愛らし笑みを浮かべた。そして、すぐさま何かを思い出したかのような表情を浮かべた。
「皆で来たのはいいけれど、団体行動するのはちょっと違うわね、現地に着いたらそれぞれ行動しましょう」
ニアがそう提案すると皆はそれに同意した。
そんな話をしているとあっという間に第三支部へと辿り着いた。皆、正面玄関の前に横並びになって立った。全員どこか楽し気な表情を浮かべている。
「さて、参りましょうか。では、後程」
ニアの言葉を合図に一同は第三支部へと足を踏み入れた。
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一方その頃、椅子に深く腰掛け、目を瞑っていたレグノはゆっくりと目を開けた。そして、一つ欠伸をすると手元にあった無線機を取り「全員集合」と一言指示を出すと無線機を置いた。
それから二分もしないうちにヴィクトリアとニヒル以外の野良犬が集まった。
「全員揃ったな。さて、早速本題だが面倒な連中がここへやって来た。まぁ、大方の予想通りだがエルドルトだな。それも一人や二人じゃない。エルドルトに関する奴ら全員だ。数を言ってしまえば六人と少ないが侮れる奴らじゃない。いくら能力が上がったとはいえ、油断するんじゃないぞ。
ニヒルが後一時間程でアップデートが終わる。ヴィクトリアはその後だ。それまで死んでもコントロールルームには入れるな。ニヒルもアップデートが終わり次第すぐに向かわせる。話は以上だ。全員持ち場に付け」
レグノがそう言うと野良犬達はすぐさま持ち場へと向かっていった
「さて、楽しませてくれよ」
レグノはそう言って再び椅子に深く腰掛け目を瞑った。