004
その頃オルカはダレンが扉のロックを外す時に使った隊員の後をつけていた。そんなことを知らない隊員は脇目も振らずに凄い勢いで逃げていた。
少し進むと隊員は足を止めた。先程、オルカ達が対物ライフルを撃ち込まれたところだ。瓦礫の山が邪魔をして先に進めないようだ。隊員は振り返り、別の道を探そうとした。その時、オルカが隊員の前に飛び出し行く手を阻んだ。
「うわ! 何だ、このガキは!?
お、お前はさっきの奴の仲間か!?
どうして、ここにいる? 見逃してくれるんじゃないのか!?」
「ガキって失礼だな! 僕にはオルカ・エルドルトって名前がちゃんとあるのに。
もちろん、命は助けるよ。ちゃんと約束したし。
でも、ちゃんと、自分と向き合わないとダメなんじゃないかって思ってさ」
オルカはそう言うと指をパチンと鳴らした。
「い、一体、これは…?」
隊員は自分の目を疑った。隊員の目の前には死んでいった仲間たちが立っている。その全てが隊員を恨んだような目を向けていた。
『お前が殺した』『どうして裏切った?』『痛い、助けてくれ…』
目の前に現れた仲間たちは次々と隊員に言葉を投げかける。隊員は耳を塞ぐがそれは意味を成していなかった。
次第に隊員は追い詰められ、壊れていった。
「俺が殺した… 俺が殺した… 俺が殺した…」
「そうだよ。隊員さんが殺したんだ。
あーあ、可哀想に。
それじゃ、僕はいくから元気でね」
オルカはそう言うと満足そうな顔をして元来た道を引き返した。