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アブソリュート・イモータル  作者: ぞのすけ
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036

 今から約一世紀前。ブラスフェミーは世界各国から人体実験をするために孤児を集めていた。その中にはアブソーバーやエキラドネといった後に首輪の野良犬となる面々がいた。

 集められた虎児は適性検査を受け、首輪を嵌められた。そして、首輪に選ばれた七人はレグノの指揮の下、人を殺すための訓練を受けた。

 そして、実戦を行い、数々の任務をこなしていく内に、彼らの目に光は灯らなくなった。ただ一人を除いては。


「ちょっと、アブソーバー! 今のは無茶し過ぎ! いくら傷の治りが早いからって、あんなに無茶をするのはお姉さん許せません!」

 そうハキハキと言ったのは七人の中では少し年上の女の子だった。

「チッ、またトルクかよ。うるせぇな。別に言われたことをやっているから文句ねぇだろ」

「そうだけど、これで死んじゃったら元も子もないよ」

「…別に死んでも誰も悲しまないし、俺らの代わりは幾らでもいるんだよ」

 アブソーバーがそう言うとトルクと呼ばれた年上の女の子はアブソーバーの左頬を平手打ちした。

「…、いってぇな! 何すんだよ!」

「死んでもいいとか言うな! 死んだら私が悲しい気持ちになる。だって、もう二度と会えなくなるんだよ。そんなことを考えただけで胸が張り裂けそうになる」

「そんなこと言うんだったら、今まで殺してきた奴らにも家族がいて、その家族に二度と会えなくしたのはどこのどいつだよ」

「…それは仕方がないこと。殺さなきゃ私たちが死んじゃう。私たちは家族だから、家族を守る為には私は悪魔にだってなれるよ」

「チッ、俺に家族なんていねぇし、いらねぇよ」

 アブソーバーはそう言うとその場を去った。

「ちょ、ちょっと、どこ行くの! エキラドネもなんとか言ってよ!」

「それは無理。アブソーバーはきっと反抗期だから何を言っても通用しないわ。

 そんなことより、自分達の身を心配した方がいいわ。アブソーバーが苛立って壁なんかを力いっぱい殴ったら大変よ。そこから建物が崩れたら私達はがれきの下敷きになるわ」

「もう! 本当に世話がかかる奴だわ! みんな行くよ!」

 トルクはそう言って、残りの首輪の野良犬のメンバーを引き連れて建物の外に飛び出た。そして、その瞬間、建物は凄まじい轟音と共に崩れ落ちた。

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