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「お目覚めですか?」
アブソーバーとエキラドネの横にいた白衣姿の男性はそう尋ねた。その問いにアブソーバーは「あぁ」と答える。
「どこか体に異常はありませんか?」
「…特にはないわ」
「そうですか。ではルナから説明があった通り、二週間程、首輪のアップグレードを行うため、首輪を預からせてもらいます。その間は自由ですので。ただ、能力は使えないので考えて行動をしてくださいね。
…それと、あとこれは個人的な質問なのですが、トルクの前任者とは一体、どんな人だったんですか?」
白衣姿の男性がそう言うとアブソーバーは鋭い眼光で男性を睨んだ。
「あ、い、いや、気を悪くさせるつもりはなかったんです・
そ、それでは、私はこれで…」
男性はそう言うと首輪を持って部屋を後にした。男性がいなくなった後、エキラドネがアブソーバーに話しかけた。
「懐かしいわね。あなた、あの人のこと好きだったもんね」
「そんな昔のこと覚えてねぇよ」
アブソーバーは遠い目をしながらそう言った。