034
とあるブラスフェミー支部の、とある会議室に野良犬のメンバー全員とカオスそれにルナの姿があった。
「諸君、久々だな。調子はどうだい?」
カオスは少しニヤついた顔でそう尋ねた。その問いかけに誰も答えない。カオスはそれを気に留めることなく話を続けた。
「さて、今回諸君らに集まってもらったのは、その首輪の能力値を上げようと思っていてな。先日、君達が必死こいてオルカ君を捕まえてくれたお陰でそのことが可能になった。詳しい説明はルナ君にしてもらおうか」
「はい。皆さま初めまして、今ご紹介に預かりました。ルナ・フェルミレールと申します。前任のビットの後任者です。
さて、カオス様が仰っていたように、今回皆さまが付けている首輪の能力値が上がります。それに伴い、首輪のメンテナンスとアップグレードする為に首輪を一旦こちらで二週間預からせてもらいます。既に御存知かと思いますが、首輪が外れてしまったら私達一般人と何ら差異はありません。傷の治りも遅くなりますし、普通に死にます。別に首輪を外した後の行動を制限することはありませんが、あまり無茶な行動を慎むようにお願いします。
何か質問はありますか?」
「皆、一斉に首輪を預けるの?」
ルナの質問に対して、オルトネイトがそう尋ねた。
「いえ、二人ずつ首輪を預かります。
あ、すみません、先程、行動を制限しないと言いましたが、ヴィクトリアとニヒルの首輪を預かる際はこの二人に護衛をつけることになっています。それは誰でも構いませんので、後で話し合いましょう」
「ヴィクトリアはともかく、どうしてニヒルにまで護衛をつけないといけないの?」
「それについては私が話そう。
君たちも知っている通り、首輪の代わりを探すには時間がかかる。今、現時点で失いたくない能力がヴィクトリア君とニヒル君なのだよ」
「じゃあ、もし仮に護衛している時に、間違えて俺が殺してしまったらどうなるんだ?」
アブソーバーは嘲笑混じりにそう言った。
「出来るものならやってみるがいいさ。そんなことをしようとした瞬間に君達の上官であるレグノがどこにいようと目の前に現れるぞ」
「冗談だよ。聞いてみただけだ」
アブソーバーがそう言うと少し沈黙があった。そして、その沈黙を破るようにルナが口を開いた。
「他には何も無さそうですね。それでは以上で報告を終わります。そして直ちに首輪の預かりをさせていただくのでまずは、アブソーバーとエキラドネからお願いします」
「お願いしますと言われてもこれは自分で外せないの知っているでしょ?」
「えぇ、ですので、こちらの部屋へ」
二人はルナに続き隣の部屋に足を踏み入れた。そこには椅子が二つ並んでいて、その椅子の周りを取り囲むように管や線がたくさんある。
「ここに来るのはいつ以来かしらね」
「さぁな。そんな昔のことなんて覚えてねぇよ」
二人はそう言って慣れたように椅子に腰掛け、目を閉じた。