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「それについては私の口が裂けても話すことはできません」
「ふふっ、小鳥のくせに大きく見せちゃって。なんて可愛らしいのかしら。
でもね、あなたの意思なんて関係ないわ。今に話したくなるから」
ニアはそう言うとヴィクトリアに近付いた。
「あなたのお名前は?」
「私の名前はヴィクトリア・エンカウントです」
「あら、名前も可愛らしいのね。歳は?」
「十六歳の時にここに来ました。それから、長い時間を過ごしたので本当の歳は分かりません」
「へぇ、とてもそうは見えないけど何か秘密があるの?」
「それは、この、あっ、痛い、頭が痛い…!」
ヴィクトリアはそう言うと頭を抱え蹲った。
「はぁ、はぁ、今のは…
あなた、私に一体何をしたの?」
「まさか、自力で私の力を振り解くなんて、何という精神力なのでしょうか。
ますます、壊したくなるわ」
ニアはそう言って、また一歩ヴィクトリアに近付いた。
「こ、これ以上近づかないで…」
ヴィクトリアはそう言って拳銃を取り出し、ニアに銃口を向けた。
「そんな代物、小鳥のあなたには似合わないわ。
でも、それを私に向けたからには責任を取ってね」
ニアがそう言うとヴィクトリアはニアに向けていた銃口をゆっくりと自分の頭に突き付ける。
「い、嫌!! な、なんで! 体が言うことを聞かないの!」
「そう、その顔。
何度見ても絶頂ものだわ」
「ニア様、流石に悪趣味かと…」
「だって、しょうがないじゃない。行き過ぎた力を持ったのがいけないのよ。
それで小鳥さんはオルカについて喋る気になったかしら?」
「話します! 話しますから!」
「そう、それじゃお願いしようかしら」
ニアがそう言うとヴィクトリアはオルカがここに来たことをフェイクを交えて話した。
「つまり、オルカはここに来て、何もせずに帰ったと。だから、その先のことは何も分からないということ?」
ニアがそう言うとヴィクトリアは頷いた。
「ふふっ、嘘はいけないわ。
私たちは任務を失敗したことはないの。それに私はあなたが嘘をついているかどうかなんて簡単に分かるわ。
もう面倒くさいから死んでね」
ニアがそう言って微笑むとヴィクトリアは再び自分の頭に銃口を突き付け、躊躇うことなく引き金を引いた。
「はぁ、結局、何も分からず仕舞いね。
リーファ、次へいきましょ」
ニアはそう言って部屋を後にした。
「…ふぅ、やっぱり、私は女優になれますわ。
それにしてもおかしな力を使う人でしたね。
ニア…、報告する必要がありそうですわ」
ニアがいなくなったのを確認すると、ヴィクトリアは何事も無かったかのように起き上がり、そう言うと紅茶を口にした。