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アブソリュート・イモータル  作者: ぞのすけ
12/59

011

 ここはブラスフェミー第六支部。少し、ピリついた雰囲気が漂っている。先日、ブラスフェミー第十五支部が何者かによって襲撃を受け、ここにいるヴィクトリアの能力を使い、襲撃者の一人であるオルカ・エルドルトをここに呼び出そうとしているからである。

 ヴィクトリアの能力は『遭遇』。写真や映像で見た人物の名前が分かれば、必ず一ヵ月以内にヴィクトリアの元に現れるというものだ。しかし、日付や時間の指定は出来ない。オルカ・エルドルトが何時、どこから現れるのか分からない為、第六支部内はピリついた雰囲気が漂っているという訳だ。

 襲撃を受けた三日後、アブソーバーを始め、首輪を付けたメンバー全員が召集をかけられた。

 第六支部のとある会議室に首輪を付けた男女が八名。それと、この間の隊長が一名。合計九名が会議室に集まった。

 「これより、第十五支部襲撃事件者に対する作戦会議を始める」

 会議を進行するのは隊長だ。

 「先日、襲撃を受けた基地での唯一の生存者であるガレットの記憶を特殊な装置を使い、映像化した結果、襲撃者のうち、一人の名前が分かった。

 名前はオルカ・エルドルト。

 この人物について調べた結果、我々ブラスフェミーのデータベースの中に情報があることが分かった。

 しかしながら、その情報を閲覧することは出来なかった。この情報は我々ブラスフェミーの中でもトップクラスのセキュリティが掛けられており、これを閲覧するとなると第一、第二支部のトップレベルぐらいでないと閲覧出来ないぐらいだ。

 特例で閲覧を許可してもらうように申請書を出したが、無論却下という結果に終わったなどを踏まえると首輪を付けた君達でも閲覧することは出来ないだろう」

 「結論を言うと、結局そいつの名前しか分からないってことだろ?」

 相変わらずボサボサ髪のアブソーバーが隊長に尋ねる。

 「あぁ、全く以ってその通りだ。

 ガレットの様子から見て、何かしらの薬物かマインドコントロールに長けている人物かもしれない。必要最低限の接触は避けてほしい」

 「接触を避けるのは私の能力じゃ難しいわ」

 ジト目の女の子、エキラドネが手を挙げて発言した。

 「必要最低限なら大丈夫だろ。

 頭がおかしくなっても、どうせこの首輪の所為ですぐ戻る」

 「それもそうね。でも頭がおかしくなるのは嫌よ。

 もし、首輪が誤作動を起こして、治らなかったら嫌だもの」

 「相変わらず、変な所だけ心配性だな」

 「接触を避けるのなら、私とエキラドネとアブソーバーはオルカとの戦闘に向かないのじゃないかしら?」

 今度は縦ロールの髪型をした金髪の女の子、トルクが発言する。

 「それはあくまでもオルカ・エルドルトの対処法だ。報告では仲間はもう一人、三十代の男性がいるとのことだ。ガレットの記憶にも一瞬だが映っている。

 そいつは十五支部の死体を見る限り、ほとんどが首を刃物で切り裂かれ死んでいる。

 このことから推測するまでもなく、使用している武器は刃物を使う相手だ。そこでトルク達の力が必要となる」

 「なるほどね。それじゃ、私たちは三十代男性で刃物を振り回す不審者を退治すればいいわけね。簡単じゃない。

 服装や特徴がもう少し詳しく分かればもっと楽勝なのにね~

 もし研究員や隊員に紛れ込まれていたら面倒だわ」

 トルクは髪の毛を指でクルクルと回しながら言った。

 「いやいや、そこまで楽観視しないでくれ。相手は二人で基地一つを潰している。二人対手にこちらは切り札である野良犬の君達全員を投入するんだ。決して楽な相手ではない」

 「冗談に決まっているじゃない。全く、面白くない男ね。

 とりあえず、私たちは刃物を持った男を相手するから、そのオルカ・エルドルトは、エンドハイドとトリガーとオルトネイトでお願いね~

 ちゃんとヴィクトリアのことを守ってよ? ヴィクトリアは私達と違って戦闘能力無いんだから」

 トルクは後ろに座っている三人に向けて言った。三人はトルクの言葉に頷く。

 「よし、それなら最後に各々の持ち場の話をしよう。

 エルミネート・トリガー、ニヒル・エンドハイド・ダミー、リグリット・オルトネイトの三人はヴィクトリアの護衛。これを一日置きに交代で行ってくれ。順番は今、呼んだ順番で頼む。

 後のエキラドネ・ホールド、エバンドロ・アブソーバー、ストラトス・トルクレイトは研究所内を巡回してくれ。

 最初の三人もヴィクトリアと行動を共にしない時には研究所内の巡回を頼む。以上だ。

 何か質問はあるか?」

 隊長がそう言うとアブソーバー達よりも後方の席に座っていた三人組の内、一人が手を挙げた。

 「エンドハイドか、どうした?」

 エンドハイドと呼ばれたオッドアイが特徴の女の子は立ち上がり発言する。

 「オルカ・エルドルトと戦闘になった際にはオルカ・エルドルト、及びその三十代男性は殺してしまっても構わないのですか?」

 尋ねられた隊員は首輪の野良犬達よりずっと後ろに座っている男を見た。男は何も言わずに頷いた。

 「殺してしまっても構わないそうだ。

 まぁ、報告では殺したはずのなのに生きているといった報告があったから念には念を入れて、殺した後に拘束でもしてくれるとありがたいな。

 他には質問あるか?」

 隊長は辺りを見渡すが誰も発言するような雰囲気ではない。

 「…これ以上は無さそうだな。

 では、今日から持ち場についてくれ。

 これで会議は終了する」

 隊長はそう言って出ていった。アブソーバーを始め、会議室にいた全員も後に続くようにして会議室を後にした。そして、各々の持ち場に向かった。

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