16 拝啓 生足様
「さてと、後はミーニャさん達だけなんだが……」
俺がそう口にした瞬間、突然女神の間の扉が開いた。
なんとなくこの流れで、俺はそこから入ってくるであろう人物を予想する。
「ハロー、サクセス君。元気してた?」
やっぱりそうだ。
ミーニャだ。
彼女は笑顔で現れると、俺にヒラヒラと手を振る。
相変わらずのナイスバディとセクシーな服装に、思わず俺の下半身が暴発しそうになるが、今はそんなことをしている場合ではない。
この、あまりに都合の良すぎる展開。
実際、ターニャは間もなくミーニャ達が戻るとも言っていたし、こういうことなのだろうとは思っていたが、それにしてもタイミング良すぎるな。
これは女神の力なのだろうか。
それとも俺の運の高さのせいだろうか。
いずれにせよ、無事に会えてよかった。
であれば、まず俺がやるべきことはあれしかない……
「まっことに申し訳ありませんでした!!」
ミーニャの姿を見て早々、俺はフライング土下座をした。
「ちょ、ちょっとサクセス君!?」
いきなり女神の間に入って直ぐ、自分の足元まで飛んできて土下座をする俺。
それを見下ろし、焦る表情を浮かべるミーニャ。
そんな中、俺は頭を下げながらも目線だけはチラリと上にあげ、その露わになっている艶めかしい(なまめかしい)足を鑑賞している。
そこで俺は思った。
土下座だけで許してもらえるのだろうか?
いや、そんなはずはない!
俺がしたことはそのくらい不誠実なものだ。
それであれば、やはりこの足を舐めることで最大限の敬意を……
と真剣に? 考え始めたところで、後ろに仲間がいるのを思い出す。
実際驚いたのはミーニャ達だけではなく、俺の仲間達もそうだった。
その情けない姿を見て、全員が唖然としているであろう中、更に足ペロプレイまでしたら、後が怖いのでやめておこう。
残念だ……
「ミーニャ! これはどういうことですか?」
そこに続いて入ってきたマネアが、ミーニャに詰問する。
「え? え? 私にもわからないわよ。いきなり入った瞬間にこれだもの。いったいどうしたのサクセス君?」
どうやら俺の謝罪の意味を理解していないようだ。
だが、それでも俺は続けるぞ。
先手必勝四十八手と言うしな!
「言い訳はしません。正直に言います。忘れていました! すみません!」
俺は誠意をもって謝罪を続けた。
すると、ミーニャは俺が何について謝罪しているのかわかったようで、手のひらを拳でポンと叩く。
「なるほど。もしかして私達との約束を破ったことかな~? 月に一回……だったわよね~」
その言い方は少しだけ自信なさ気であり、今思い出したようにも感じる。
それはつまり、俺がやってしまった事について全く気にしていなかったということだ。
だとしても、俺は誠実に対応する。
目線をその細く艶やかな足に向け続けながら……
「左様でございます。」
「へえ~。忘れてたんだぁ。私達はてっきり忙しすぎて戻れなかったのかと思ったんだけどなぁ~」
そう言いながらも、新しいおもちゃを見つけたように悪戯な笑みを浮かべるミーニャ。
この感じ……やはり怒りを鎮めるには足ペロしかないのかもしれない。
べ、別に舐めまわしたいわけではないのだよ?
これは謝罪。そう謝罪だ。
この大義名分があれば……
しかし本当にえっろいなぁ……この生足様は……
では! いただきまぁぁす!!
レロレロレロォ~
と舌を口から出し始めた瞬間、パシッという音がして舌を引っ込める俺。
見上げると、ミーニャの頭をマネアが叩いていた。
「やめなさいミーニャ。サクセス様もこうやって誠意を示しておられます。それに私達も戻れなかったのは同じです。そういうことですので、お顔を上げて下さいサクセス様。仲間の方々も困惑しておられます」
本当にすみません。
謝罪する気持ちとエロい気持ちで一杯です。
とりあえずマネアのお蔭で冷静を取り戻し、かつ、謝罪も受け入れてくれたようなので、いつまでも生足様と対面し続けるわけにはいかない。
このベストポジションから移動することに対し、後ろ髪を引かれる思いではあるが、俺はゆっくりと、そうゆっくりと立ち上がろうとしたのだが、その時、誰かが俺に手を差し出してきた。
「お久しぶりでござる。サクセス殿」
王国戦士長のブライアンだ。
俺はその手を取って立ち上がると挨拶を返す。
「お久しぶりです、ブライアンさん。元気そうで何よりです。」
彼は王国戦士長という立場なはずなので、あの大戦の後は国に戻ったと思っていた。
にもかかわらずミーニャ達と一緒にここにいるということは、これまでずっと一緒に行動を共にしていたのだろう。
そんなブライアンだが以前見た時よりも、彼の顔は若々しく見える。
なんというか、男の臭いがプンプンするぜ。
もしかしたら俺のミーニャへのエロスを感じて手を差し伸べたのかもしれない。
やるな、王国戦士長。