表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

38/57

35  新ステージ/左手の行動①

期間が空いてしまったので軽い前回のあらすじ


主人公『私』がマンドランへと進化

称号について色々知った……です

 新たな体になって最初の朝を迎えた。

 今、やるべきことは修行の続きである。

 進化して、種族的に強くはなったが再びLv.1に戻されていた。

 各種能力は上がっているかもだけど、レベルが低いのは落ち着かない。


 そして、スキルの熟練度上げと習得。

 それと並行して出口とミギーの捜索。

 最終的な目標に”元・人間らしく文化的で安全なスローライフ”を掲げている私は、そろそろ森さん以外の話し相手が欲しいところでもあるし。

 なにより雑魚の私でも一体よりは二体の方が戦力的にも、ねえ?

 だから、最重要はミギー捜索かな。


 あっ、そういえばミギー以外にもアリ戦の時に左手を寄生させたけど、あの子は無事かな。




《解:生存しています》




 おー。

 じゃあ、寄生させた元左手ちゃんも追加で探しながら修行兼出口探しをしようか!


 とりあえずの指針が決まった私は歩き始めた。

 右に左に直感で気の身気のまま、尚且つ慎重に進んだ。

 進化の影響か案の定お腹は空いていたけれど、我慢できるレベルだった為、極力危険な戦闘行為は避けて進んだ。




 一時間、二時間と体内時計があっという間に進んでいく。

 無休憩で歩き続けて、どれくらい経過しただろうか?

 私には分からない。

 しかし、それも終わりを迎えそうになっていた。


 目の前には陽光のような先の見えない眩しい光を放つ、外へと繋がっていそうな通路が。


 何日ぶりの()()()光だろう。

 洞窟生活で暗視を取得して、暗い中での生活には慣れた。

 別に洞窟に光が一切なかった訳ではない。

 光る苔やキノコ、鉱石等はあった。


 でも、私の目に映る通路の奥、白く光る出口はそれらとは比べものにならないくらい明るくて眩しい。

 点な目を細め、私はその光に導かれるように足を運んだ。

 そして、ついに。


「ゾドダーッ!」


 私は両手を上に上げ、ぎこちない発音のまま叫んだ。

 しかし、その喜びは僅かな時間で無にきした。

 森さんの悪気のない発言によって。




《告:外ではありません》

《ここは星中核大迷宮中層域【樹海】かと思われます》




 ……

 …………

 ………………。


「ア゛?」


 なんて?

 星中核大迷宮?

 は?

 樹海って……。どう考えても外じゃね?


 青々しい樹々や草花、煌びやかな陽光、澄み渡る青空。

 これが大迷宮内?

 というか、中層ってなに?

 地下なの?

 この空も地下にあるっていうの?




《解:是》




 じゃあ、この眩しい光は何?

 そもそも、今まで私がいたアリの巣のような洞窟はなんだったの?

 大迷宮ってどういうこと?

 そもそも中層って何っ!?




《解:星中核大迷宮》

《地下に広がる上層中層下層の三つの層からなる(世界)の仕組みかと推測されます》

《上層は【大空】【大地】【大洋】の三つ》

《中層は【樹海】【深海】の二つ》

《下層は【氷河】【溶岩】の二つで構成されています》

《光源は陽光石柱によるものと推測されます》




 星の仕組み?

 何それ……。

 星全体が、世界の全てがこの星中核大迷宮ってこと?

 それじゃあ、まるで——…




《解:否》

《地上は大迷宮とは異なります》




 分からない、分からないよ。

 星の仕組みって?




《解:不明です》




 ここからの出方は?

 地上に出るには?




《解:不明です》




 分からない。

 分からないが新たな分からないを生み、困惑が新たな困惑そして疑問を作り出す。

 知らないことは罪ではない。知ろうとしないことが罪なのだ。


 ただし何事にも例外があるということを忘れないで欲しい。


 そう、例えば今の私みたいな状況だ。

 臨機応変に行こうじゃないか。

 今までだってそうだったじゃん?

 分からないモノは分からないままでも、一応今日まで生きてこれた訳だし。

 ほら、何も問題じゃない!


 私のやることは変わらず、ミギーと左手ちゃんの捜索と修行なのだから。

 ここが外かどうかなんて些細な問題なのだ。

 星中核大迷宮? 中層? 樹海?

 知ったこっちゃない。


 だから私は考えるのをやめた。

 思考を放棄した。




 よし。

 早速新ステージの樹海の散策に行こう。

 我が同族が住うと思う夢の楽園(ユートピア)へ!











‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐











《告:アーミーアント(兵士(ソルジャー))への寄生率が70%を超えました》

《アーミーアント(兵士(ソルジャー))への神経への接続を実行しますか?》

《 YES or NO 》




 その突然聞こえてきた無機質な声は二度目やった。


 ウチにとって一番古い記憶っちゅうんは、母体となる存在の左腕だった頃。

 母体は寄生する前の宿主に左手(ウチ)を喰われたんや。

 それが一番古い記憶。

 それと同時にさっきの声が聞こえてきよった。


 ウチに感情はあらへん、はずや。

 せやけど、考えられない愚鈍な案山子っちゅう訳やない。

 母体の影響かなんかで、強く生き延びることを指針にしとるんや。

 せやから、この声の答えは”YES”一択。




《告:アーミーアント(兵士(ソルジャー))への神経への神経の接続に成功しました》

《アーミーアント(兵士(ソルジャー))との肉体共有に成功しました》

《アーミーアント(兵士(ソルジャー))との視界共有に成功しました》

《アーミーアント(兵士(ソルジャー))との能力共有に成功しました》

《スキル【酸作成Lv.1】を獲得しました》

《スキル【酸耐性Lv.2】を獲得しました》

《スキル【聴覚Lv.1】を獲得しました》

《スキル【供声Lv.2】を獲得しました》




 これが共有したっちゅうことか?

 ウチは宿主となったアリの足を動かし、そして初めてこの世界を視界に収めた。


 アーミーアントの視力は決して良くはない。

 むしろ、悪い。

 しかし切り離された元左手にとって、良し悪しの分からないその視界共有の能力で得た見える世界は鮮明に記憶されることになった。


「ギシギシ」


 前を歩くアーミーアントが振り返り、歯軋りを鳴らした。

 ウチはそれに対して歯軋りで返し、先導するアリと共にアリ達の巣へと帰還した。

お久しぶりです。

更新が遅れてしまい、申し訳ございません。

大変お待たせいたしました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 主人公が好きです、ネジが外れて過ぎて無い人間味があり──外れてるのも好きですが── 生きていて良いですね [気になる点] 区域間の移動できるかが気になりますね、できるならばその中間地点は中…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ