表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

27/57

24  石化光線

 ナメクジ食べて酷い目にあってからしばらく経った。

 ねぇ、森さん。

 ちょっと気になることがあるんだけどさ、聞いてくれないかな。




《応:是》




 今の私って、他人から見たらどんな感じだと思う?

 最低最悪の悪逆非道を繰り返してきた極悪モンスターとかには見えないよね?

 私は()()()最底辺の雑魚だよね?




《応:是》




 よかった。

 認知している称号だけでも、【無慈悲者(ムジヒナモノ)】【日陰者(ヒカゲモノ)】【生存弱者(ヨワキモノ)】【悪食者プレデター】とか、誰がどう考えてもロクなもんじゃない。

 そんな称号がもたらしてくれる効果の有無はどうかは分からないけど、もしなんかオーラ的な感じで表に出ていたら、とかふと考えちゃったけど杞憂みたいだね。


 じゃぁさじゃあさ、確認なんだけど私って別に避けられているわけじゃないよね?

 ナメクジ戦以降だけど、なんか他の魔物達に出会さないんだけど?




《解:不明です》




 むぅ。

 肝心なところが分からないなんて。

 姿を見ないどころか、足音も鳴き声も何も聞こえない。

 私がロクでもない称号を持っているからとかじゃないなら、まぁいっか。


 正直に言うと”私は最底辺の雑魚だよね?”って聞いたときに”是”とか言われたことに、少し思うところはあるけど、魔物に出会さないのが私のせいじゃないならいいや。

 たまたまだよ、たまたま。


 うーん、何しよう。

 酷い目にあったとはいえ、空腹じゃないから無理に獲物を探す必要はないしな。

 久々にスキルの熟練度上げでもやるか。

 それも含めて修行だしね。


 まずは新しく手に入れたスキルの確認から。


 【味覚】は最初にスキルポイントで獲得した【視覚】みたいなもんで、常時発動型のパッシブスキルかな。

 美味いモノ、不味いモノどちらでも良いのか。

 それとも、色々な種類の味に触れれば良いのか分からないけど、これは視覚同様に気付いたらレベルが上がるスキルだと思う。


 次に耐性系の瘴気耐性と麻痺耐性か。

 本当に嫌な奴だよ、ナメクジは。

 毒持ちで敵から身を守る奴は何体か見たけど、死んでからも瘴気やら麻痺やらで相手を苦しめるナメクジはもしや強キャラだったのでは?




《解:否》




 やっぱそうだよね。

 そんな()キャ()()を倒した私は、脱雑魚と言っても過言ではないのでは?




《解:否》




 よし!

 これからは私は雑魚ではなく、ちょい弱魔物と名乗って行こう!


 話逸れちゃったけど、ナメクジ食べて毒・麻痺・瘴気の三つの耐性レベルが上がったから、ナメクジは積極的に狩って行こう。

 食べた後の腹痛とか息苦しさは辛いけど、それよりも私は美味い飯が食ベたいし。

 ナメクジは目を瞑ってさえいれば、味貝だし。

 レベルも上がる。

 耐性のレベルを上げるのに持ってこいな獲物だわ。


 で、最後が悪食共か……。

 はぁ。

 悪食と大食感って、何でもいっぱい食べれるようになりますよってこと?

 使い道不明だわ。


 というか、いい加減に魔法を使ってみたい。

 せっかく【地属性魔法】なんてスキルを持っていても使えないんじゃ、宝の持ち腐れだよ。

 森さんは不明しか言わないし。




 …——カサッ。




 ん?

 地属性魔法について悩んでいた私は、私が持ってる三大使えないスキルの【気配察知】よりも早く獲物の気配を感じ取った。

 ずっと何も気配を感じなかったのに、背後からこっそりと迫ってきていたのは。




《解:蜥蜴です》




 だそうです。

 一度トカゲというか、ヤモリみたいな奴は倒したことあるけど、これは全くの別種だ。

 というか、初めて見た。

 なんていうか、画風が違うというか。


 恐竜をぽっこりお腹の怪獣にして、それにぬいぐるみのような愛くるしさをプラスにしたような、二足歩行のトカゲ? だ。


 単体でいるみたいだけど……何これ可愛い!

 だが、私に見つかったのが運の尽きだな。

 雑魚からちょい弱魔物へとランクアップした私は、今までの私じゃない!

 ちょっとできる私なのだ!




《解:言ってる意味が理解できません》




 安心して森さん、私も分からないから!

 とにかく、先手必勝!


 私は定石通り隠密で気配を消して背後に周り、首元目掛けて飛びついた。

 しかし、その瞬間怪獣ちゃんの金色の瞳が輝き私の右腕と右足に光線が掠った。


 っ!?


 未知の攻撃、未知の相手。

 私はその光線を喰らってすぐ、飛びかかるのを止め急いで距離をとった。


 ……え、何これ。 

 なんで光に触れたところが石化してんの!?

 痛みはないけど、それと一緒に感覚もないんだけど。




《告:熟練度が一定に達した為、スキル【石化耐性Lv.1】を獲得しました》




 石化?

 何その見るだけチート!?

 ズルじゃん!

 石化光線とか、ズルじゃん!

 耐性持ってても、運良くたまたま少ししか石化されなかったけど、見るだけでアウトとか無理ゲーもいいところだ!

 今の私には手に余る!

 もう逃げないと言ったが、前言撤回だ!

 逃げます、超逃げます。

 戦略的撤退、命あってなんぼですから!


 私は怪獣ちゃんから逃げた。

 幸い怪獣ちゃんは足がそれほど速い感じではなく、加えて私の逃亡のスキルのレベルが3に上がったおかげで逃げ切れました。


 追伸。

 逃げている最中に異常なほどリアルな魔物の石像を見つけました。

 他の魔物の気配がなかったのはどうやら怪獣ちゃんが原因だったみたいです。

 逃げて正解でした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ