ペンギン三兄弟 〜 42話 まいごのおばけ の巻
ペンギン三兄弟
チャン・・・性格は几帳面。声がいいが顔がデカい。
サングラスをかけている。つぶあんが大好き。
ドン・・・体はちっちゃいが、器用に何でもこなす。
収集癖あり。
ゴン・・・ド天然。普通のことが超不器用。
日々体を鍛えてる。ゴジラが大好き。
ペンギン三兄弟、チャン、ドン、ゴン。
今日も仲良く暮らしています。
静かな夜でした。
1匹のおばけが、小さくて白い体を
フワフワと空中にうかべて、さまよっていました。
「おとうさん、どこ行っちゃったのかなあ」
まっくらだし、ひとりぼっちだし
心細くて、おばけは 今にも泣き出しそうでした。
見ると、とある家の戸口の前に
カボチャのランタンが、火をともしていました。
おばけは、その火に引き寄せられるように
家に近づいて行きました。
「おとうさん、ここにいるかなあ」
おばけは、スーッと壁を通りぬけて、家の中へ入りました。
家の中は、まっくらで、部屋の扉が3つありました。
おばけは、フワフワと漂いながら、1つめの部屋の扉を通りぬけました。
部屋のすみにベッドがひとつあって、
ペンギンが眠っています。
おばけは、ペンギンに近づいて行きましたが、
ペンギンの顔が思ったより大きかったのと、
かけているサングラスが
黒びかりしていたものだから
こわくなって、部屋を逃げ出しました。
おばけは、フワフワと漂いながら、2つめの部屋の扉を通りぬけました。
部屋の中は、所狭しとモノがあふれていました。
「ここは、ものおきかなあ」
だれもいないので、おばけは部屋を出ました。
ほんとは小さなペンギンが眠っていたのですが、
おばけは見つけられなかったようです。
おばけは、フワフワと漂いながら、3つめの部屋の扉を通りぬけました。
部屋に入ったとたん、目の前になにかが立っていました。
黒くて、カラダがギザギザゴツゴツしていて
大きく開けた口には鋭い牙がならんでいて
つりあがった両目は、赤く光っていました。
「ギャアア〜!」
ゴジラのフィギュアを見たおばけは、恐ろしくて叫び声をあげました。
そして、とうとう泣き出してしまいました。
「うわあ〜ん、おとうさあーん」
ゴン「うるさいな〜、だれだよ」
チャン「なんだなんだ?」
ドン「なにごとだ〜」
大音響の泣き声に、3羽も目が覚めて、集まってきました。
部屋の真ん中でおばけが泣き叫んでいました。
チャン「ねえ、だいじょうぶ?」
ドン「どうしたの?」
ゴン「よしよし、泣くなよ」
おばけが目を開けると、ペンギンが3羽、心配そうに自分を見つめていました。
おばけは、ハッとして、自分が姿を消していないことに気づきました。
いつもだれかがいるときは、姿を消すように教えられていたのです。
おばけ「おとうさんがいないの」
チャン「まいごだ」
ドン「おとうさんとはぐれたんだね」
ゴン「いっしょにさがしてあげようよ」
3羽とおばけは、おばけのおとうさんを探しに出かけました。
やがて、カボチャのランタンがたくさん光っている家を見つけました。
チャン「あの家にいるんじゃない?」
おばけは、スーッと家の中へ入っていきました。
そして、しばらくすると、小さなおばけと大きなおばけが、家の中から、スーッと現れました。
小さいおばけがうれしそうに言いました。
「おとうさんがいたよ!」
ドン「よかったね」
ゴン「もうまいごになるんじゃないぞ」
大きいおばけ「このたびは、むすこがお世話になりました。これはほんの気持ちです。受け取ってください」
大きいおばけはそう言って、白くて大きな袋をくれました。
チュンチュンチュン
スズメの声が聞こえます。
3羽は、ベッドの上で目を覚ましました。
チャン「あれ、夢だったのかなあ」
ドン「かわいいおばけに会ったよねえ」
ゴン「あれ見て」
テーブルの上に白い大きな袋がありました。
袋の中には、お菓子がたくさん入っていました。
「トリックオアトリート!」
その日仮装してやってきた子供達に
3羽は、たくさんお菓子を配ってあげました。
おわり




