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いつものようにエリーが運んだ朝食を食べていた。
髪を結いながら「ダリア様の御髪はいつも美しい」と褒めてくれる。
「ねぇ、エリー」
エリーの肩がビクリと跳ねた。
ここ数ヶ月間、ダリアは誰とも言葉を交わさず、何も語ろうとはしなかったのだ。
「ダリア様…」
「わたし、城の外に出て、誰も知らない土地に行きたいの」
窓から見えるサンストーン王国の街を見つめながら、ポツリと呟くダリアは、あまりにも美しく、切ない表情をしていた。
エリーはダリアに従順な侍女だ。幼少期から共に育ち、仕えてきた。ダリアが部屋に引きこもり始めてからも、唯一入室を許したのはエリーだけだった。
ダリアの切実なる願いをエリーは叶えなければらない。
「…おおせのままに」
エリーは静か膝をつき、最上の忠誠を誓った