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「陛下…」
マグノリア、王妃は静かに首を振った。
そうか、と一言返すと食事にしよう、と椅子を引いた。
朝は王家が唯一食事を共にする。母の意向で、家族の時間を作りたいという願いからだった。
「ダリアはどうしてしまったのでしょう」
「ジェード」
第一王子であるジェードはポツリと呟く。
賢王と呼ばれる父の血を色濃く継ぎ、父と同じ白銀の髪にブルーの瞳、整った目鼻立ちは社交界の淑女たちを虜にする。
性格は母に似て穏やかで、少々マイペースな所はあるものの、次期王となる為に公務に追われる日々。
朝食では必ず顔を合わせていた妹に、一体何があったのか。小さい時はよく一緒に遊んだが、ジェードが社交界に出てからはあまり構ってやることが出来なかったが、今となっては顔を合わせることもない。
「おい、ロータス。何も知らないのか?」
「おいおい、我が妹は母上とすら顔を合わせようとしないのだぞ?わかるわけないだろ」
ロータス、第二王子はやれやれ、と首を振った。
サンストーン王国の騎士団、第三騎士団の団長を務めている。日々の鍛錬で焼けた肌、鍛え抜いた肉体は、母上曰く「暑苦しい」そうだ。母上と同じプラチナブロンドの髪を短く刈り上げているが、父譲りの甘いマスクで、淑女から熱いラブコールが絶えない。
「父上と兄上が甘やかしすぎたのでは?」
「口が過ぎるぞロータス」
ダリアは王家唯一の王女として生まれ、
ジェードが10歳、ロータスが9歳の時に誕生した。
歳の差と、唯一の女児だったダリアは
蝶よ花よと育てられ、天真爛漫な明るい少女だった
サンストーン王国では16歳でデビュタントを迎える。
ダリアは今年で15歳になる。
来年のデビュタントに向け、レッスンや淑女教育も滞っている状態である。
ダリアがいた時はもっと明るくて、賑やかな食事だったと思うロータスはぼんやり考えていた。