水魔法事件
全くもって遺憾である。
昨日起こった水魔法事件のことだ。
俺にとっては、初めて魔法を使った記念すべき日になったわけだ。人生初魔法だぞ!?マジックなんかじゃなくて正真正銘の!
しかし、家族にとっては全く別の記念すべき日になってしまっていたようなのだ。
俺が初めて赤ん坊らしいことをした、と騒ぎ始めた。
つまり、俺が”おねしょ”をしたのだと。
全くもって遺憾である。
今回の両親にはできるだけ迷惑をかけまいと行動していたことが大きく裏目に出てしまっていたのだ。
魔法を使い気を失った後目が覚めた時、家族全員が俺のベッドの周りを取り囲んでいた。
兄はなぜか拍手し、母は喜び、マイヤさんは泣いた。
だがそれならまだ良い。
一番ヤベェのはあの父親だ。
喜びが天を突き、俺のおねしょを村の領民に広めて周っていたというのだ。
なんなら”フェルのおねしょデー”なるものを作ろうとしていやがった。
流石にそれはマズイということで、マイヤさんに止められてはいたが。こんなことをする人間は聞いたことがない、少なくとも日本ではありえないだろう。
ありがとうマイヤさん。
しかしこのままではヤバイ。
俺が赤ちゃんらしい事をしなければしない程、何かの拍子に来る反動がデカすぎる。
これからは適度にそれっぽい事をしないといけないようだ。だけど赤ん坊の時の記憶なんてないし、もちろん子育ての経験だってない。
妹はいたけどあんまり歳も変わらなかったしな。
いやだぞ、ウンチ漏らすなんて。
今でも処理してもらうのが恥ずかしいのに。俺は今すぐにでもトイレを使わせていただきたいくらいだ。
だがこの水魔法事件のおかげで、ベッドに置いてあった本がグッショリ濡れてしまった事も良い感じにもみ消された。
全て羊皮紙で出来ていたおかげで大きな損傷はなかったが、大切な本に申し訳ない事をしてしまった。
これからはそういう事には気を付けていかなければならない。
魔法を使う事は初めてだった。
だからと言って、そういった懸念材料がある事をしっかりと念頭に置いておくべきだったのだ。
反省して次に活かすとしよう。
でもやっぱりおねしょは遺憾である。




