「いい人になりたい」「……なれたら、いいね」1.7
「本当は好きなんじゃないの?」
「十年も、二十年も、三十年も好きでい続けられるか、確約できないものをぼくは好きとはいいません」
「素直じゃないなあ」
「あなたに素直かどうかは、ぼくの勝手でしょう。でも、素直な方が優しいことはわかっています。地球にとっても、人類にとっても。まあ、嘘で社会が回っているところはあるのでしょうが」
「付き合わないの?」
「なんですか、付き合うって? だれとですか? 意味が不明ですが、好きだとしても、付き合うかどうかは、まあ、そのときの気分によりますね。もし付き合って、結婚して、絆ができたら、後々、大変なことになりそうですが」
「君は、なんというか、冷めているんだね。結婚願望はないの?」
「うーん。子づくりをしない結婚は、相手に申し訳ない気持ちがあるので、なかなか。SEXを求められたら嫌な人って多い気がするんですよね。結婚すると双方の合意が必要なことが多くなってしまうんです。しがらみも増えますし」
「そういう人も、中にはいるかもしれないけれど、そういう人ばかりではないのでは?」
「そういうことを考えるのが、ぼくにとって難しいのです。多めに見積もっておくことが大切です。できるだけ他人に迷惑をかけたくないですから」
「他人に迷惑をかけていない人がいると思っているの? 一人だと寂しいよ」
「思っていませんよ。結婚しても、しなくても、寂しいことや虚しいことは、あまり変わりませんよ」
「もう知らないよ。君のことなんか」
「はい。だれにも知られないまま、ひっそりと生きていきます」




