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「いい人になりたい」「……なれたら、いいね」22

「子供じゃないんだから」

「馬鹿にしてるのか!?」

「なんで、そうなるの」


「しゃべりたくない」

「……」

「しゃべりたくない」

「……」

「しゃべりたくない」

「……」


「それは誤解だ」

「かといって正しさがあるのか」

「正しくないことを指摘しているだけだ」

「その先はなにがある」

「和解がある」

「そこに真理はない」

「完全じゃない。絶対じゃない。それがどうした」

「どうもしない。だから、わからない」

「わからなくても、和解できればいいのか」

「そうだ。正解がなくても、和やかであれば」

「つまり、笑えと?」

「笑え笑え」

「笑ったよ。これがどうした?」

「楽しいか?」

「楽しいかと聞かれたら、きっと、お前が思っているほどではないと答えるが。これが、和解か」

「争っていたっけ」

「忘れた」

「武器を持っていることも、忘れたか?」

「忘れた」


「無味な世の中だと思わないか」

「世の中以外になにがあると思っているんだ?」

「無味という点に着目してほしかったが」

「趣きもなく、味もないのか」

「趣味があれば面白い世の中だっただろうが」

「それはお前の世の中だろう」

「そこに着目しないでほしいが」

「世の中は一つだ。それはな、お前の中にある」

「お、お、おう」


「歳を重ねるごとに、虚しくなる」

「虚しいことは、いいことか?」

「そんなわけないだろ」

「悪いことでもないだろ」

「じゃあ、なんだよ」

「わかんないけど」

「なにかしたら虚しくなくなるかも」

「まあ、そうだろうね。暇じゃなくなれば」

「暇なことはいいことだろ」

「わかんないけど」


「なにもわからない」

「例えば?」

「小説と詩の違いがわからない」

「そこを例える人がいるとは」

「意外だったか」

「そうでもない。人それぞれだろう」

「では小説と詩の違いを教えてくれ」

「画数と文字数が違う」

「超短編小説はあるが?」

「……」

「じゃあ画数」

「十七画と十三画か」

「間違ってないだろ?」

「……」

「じゃあ決まりだな」


「意味がない」

「意味がある」

「無味がない」

「意味不明」


「どうしたら勉強なんだ」

「どうしたら?」

「そう。どうしたら勉強したということになるんだろうな」

「自分が勉強したと思ったら勉強したってことになるんじゃねーのかよ」

「じゃあ。つまりだれも他人に勉強させることはできないってことにならないか?」

「そういうことだな。勉強しなさいと言うことはできても、勉強させることはできない」

「あは。それ、面白い発見だな」

「勉強は自分のためにやるものって言葉は、要するに、勉強した感覚ってのは自分でしか理解することができないってことなんだろーよ。どこからが勉強で、どこからが勉強じゃないのか。提出するだけの宿題は果たして『勉強』といえるのか。親が子に勉強しなさいと言う場合はそこのところを気をつけないと、少し嘘になっちまうな」

「そういうおまえは、勉強してたのか?」

「わからないけど。でも、どういうものなのか、わかる人にはわかるんだろうな」

「そんなこともわからないの?」

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