第1章 「ふふ、怖がらないで。女性同士で愛し合うのはとても自然なことよ♪」 だから気軽に書きましょう。
百合小説。けして普通の小説に比べ、特別な技術が必要という訳ではありません。
でも、どうすれば百合になるのか。
そう考えてる方に、私が言いたいのは。
「そんなに難しく考えないでくださいな」ということです。
極論、女の子が二人登場すれば、そして会話なり何かしらの接触が有れば百合作品です。
以下、例文です。
※ ※ ※
「傘、忘れちゃったの? ほら、私のに入りなよ」
「う、うん……」
傘を持つ指が、触れ合う。つい意識してしまい、頬が赤く染まった。
※ ※ ※
ほら百合出来た!! 簡単!!
女の子達が同じ空間にいるだけで、同じ空気を吸っているだけで!!
そこには百合が産まれます!! 私達百合好きの妄想力は無限です! 任せて下さい!!
必ずしも恋愛感情をストレートに書かなくても、女性が女性になにかしらの感情を抱けば。
それが好意的な感情でなくてさえ、私達は百合妄想余裕です。
もう一つ例文。
※ ※ ※
「お前だけは……ッ! 私の手で殺してやる……ッ!!」
「くっ! 貴女はそんなにも、私を憎んで……!?」
※ ※ ※
愛情が行き過ぎて憎しみに変わってしまったんですね分かります。
つまり百合ですね?
と、このように。女の子が愛情でも友情でも憎しみでも、互いを向き合えば私達百合好きは百合妄想できるのです。だから無理に「百合っぽくしなくちゃ!」等と焦らなくても大丈夫。
極端に言えば女の子が会話してるだけでも百合シーンですよ? 簡単、簡単。
女の子同士に当てたスポットライトを、少しだけ強めにすること。これで百合小説は書けます。
だからジャンルも不問です。百合といえばお嬢様学校の寄宿舎などが王道ですが、それだけではありません。ファンタジーでも現代ものでも、推理小説だろうがホラーだろうがコメディだろうが、女の子が複数登場すればOKです。百合は自由です。
むしろ女子率0%でも、ナイスミドルなおじ様達が百合について熱く語り合う作品なんてのがあっても良いと思います。立派な百合作品です、それも。
女の子同士の愛情は理解出来ない、という方も、友情やライバル心なら分かるのでは。
それをクローズアップすれば、立派な百合です。プリキ〇アやアイ〇ツ等の女児向けアニメが、百合界隈で人気を得ているのも、不思議なことではありません。熱い友情は、愛情と見分けがつかないのです。
少なくとも百合好きには。
結論としては、百合を書くハードルは、とても低いですよと言いたい。そんなに気負わなくても、女の子同士の関係性(別にエッチな関係性を言ってるのではありませんよ?)を描けば、私は百合妄想します。チョロいです、私。
それでも難しそうと思うなら、こんな方法はいかがでしょう。
既に出来ている作品の登場人物(男)を、女の子に置き換えるのです。
またまた例文。織田信長と豊臣秀吉の有名な逸話を、姫様とメイドに置き換えて。
※ ※ ※
「むむ、今朝は寒いのじゃ。わらわのパンツはどこへ行った?」
「ふふ、姫様のパンツならここに♪」
「何じゃこれは。暖かいではないか! さてはそなた、わらわのパンツを頭に被っておったな!?」
「いいえ、姫様が寒くないように、私が穿いて温めておいたのですわ♪」
「な、なんと! 気が利くではないか!」
※ ※ ※
被るのはダメで穿くのはOKなのかとか、細かいことは良いのです。そこに、愛が有るなら。
既に書けている、あるいは頭の中にある貴方の作品。その登場人物を、男から女の子に変えてみる。
どうでしょうか、これだけで百合作品の出来上がりです!
ね? 何だか百合が簡単に書けそうな、そんな気がしてきませんか?