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最近のサキュバス事情

作者: 束間由一

先週の土曜日、同人誌即売会の会場で、コスプレ撮影を眺めているサキュバスと出会った。


 最初はコスプレイヤーの1人かと思ったが、妖気による誘惑(テンプテーション)にかかり、そのまま彼女の側に誘導され、本人から直接聞いたので本物だと分かった。間違っても自分からすすんで近づいたわけでない断じて違う……とりあえず、せっかく話す機会ができたので、ドキドキしながら話し掛けると、彼女は気軽に応じてくれた。


彼女はアンジェリアと言う仮名で、よくこのようなイベントに参加するが、何れも人外のアニメキャラクターのコスプレをするらしい。要するにこの時着ていた衣裳もまた普段着では無かったのだ。普段は帽子をかぶったり、眼鏡をかけたり、清楚な服を着て目立たないようにしているらしいから紛らわしい話である。なぜ、普段は目立たない生き方をしているのかと聞くと、こういう時とのギャップを楽しんでいるとの事だった。恥ずかしいからなんて理由じゃないあたりは、さすがは人を惑わす悪魔と言ったところか。



最近の男は本質的な魅力に欠ける奴が多い。見た目だけで、志も夢も希望もない。そんな男の精気を吸い取っても、美味しくも何ともない。常に何かに餓えて何かを貪欲に求める希望に溢れた男の精気こそが私達の求めるものなのです。あなたも、良い男、私たちが寄り付くようなおいしい人間になりなさい。


彼女はそういうと、更衣室の方へ去っていった。僕は、精気を吸われなかったつまり男として魅力がないと遠回しに告げられたことにその場では落胆したが、家に帰るとあの話は自分に対する応援の意味もあったことに気付いた。


もっと、いい男になり、彼女と再会したいものだと思いつつ、僕は薄っぺらい同人誌の一冊を開いたのであった。

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― 新着の感想 ―
[一言] 今回も面白く読ませていただきました。 読ませていただいて、些か失礼だと思いますが、少々物足りなさも感じました。 折角のコラム文(?)なので、新聞によく在るような、筆者の教養が感じられる独…
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