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EightPrincessOneBoy  作者: ぽちょむ菌
第一部『真一郎と八人の姫』
19/38

17話 『中央砦への道 その一』

どーもです!

今回はすぐ投稿できたぁ~







(……んん、アタイ寝ちまったのか……?)

 サクラが目を開けて最初に見たのは、見知らぬ天井だった。

「こ、ここ、どこだ……」

 眠りについた記憶はない。

(それにしてもふっかふかだなぁ……)

 サクラはふっかふかな何かに包まれていた。おそらくベットに居るんだろうが、自分が普段使っている物とは天と地ほどの差があった。

(なんでアタイこんなこで寝てるんだっけ……?えーっと、確か横丁が……で、ミツクニが……ああ!ミツクニ!!)

 飛び起きようとしたサクラだったが、思うように体が動かず、寝たままバタバタと手足を動かす事しかできなかった。


「あ!サクラちゃん起きたんだね!」

「ホントだ!」

 サクラがべットでもがいていると、二人の少女が部屋へ入ってきた。白いミニスカートのワンピース姿に、白いへんてこな帽子を頭にちょこんと乗せている。

「うぅ……」

「あぁ!ダメだよ無理に動いちゃ!ミー、シャールイ姉様呼んできて」

「らじゃー」

 その場で敬礼しテッテケテ~と部屋を出て行くミー。

「ほら、サクラちゃんはまだ寝てて。獣化で体力消耗してるのもあるけど、体中ボロボロだったんだから」

 そう言いながらてきぱきと布団を直し、サクラの耳をなで始めた少女。近くで見ればその顔はフォレイティアス国民ならば、正確には、そこに住む獣人亜人にはかなり有名なヒトだった。

「……ふ、双子姫さま?」

「うん、ちなみにクーニャの方ね」

「ク、クーニャ様。……ミ、いや、真一郎様は?」

「兄様ならダイジョーブ。サクラちゃんのお陰で無事だったよ。今は中央砦に行っちゃったけど、すーぐ帰ってくるからね。それまでに元気になってましょうね」

「ちゅ、中央砦へ?」

「そそ、闇の軍勢が久々に来るらしいからその防衛ね。予定通りなら今日の夕方には付くんじゃないかな?」

(確か中央砦までって三日とかだったはずだ。アタイはそんな寝てたのかい……)

 サクラの記憶では、遠征軍出発はあの事件の翌日だったはずだ。これまで何回か獣化しているがこんなに目覚めるのが遅かったのは始めてだった。



「サクラさん起きたのね」

「シャールイ姉さま連れて来たよ~」

「シャールイ様!」

 サクラはこれでも信心深い。信仰心のあるものにとって、双子姫なんかよりもよっぽど雲の上の存在。それが大司教のシャールイだった。

「あらあら、元気そうでよかったわ。さ、少し診察しますよ」

 そう言ってミーとクーに指示を出し、サクラをベットに座らせる形にしたシャールイ。

「二人とも支えてて上げてね。サクラさん体に力は入る?」

「いえ。あんまり入らない……です」

「そう、心配しなくても大丈夫よ。今回は、ただでさえ体力の消耗が激しい獣化に合わせて、体自体にダメージが多かったからだと思うわ。ゆっくり休んで栄養を取ればすぐに治りますからね」

 そう言いながらサクラの体のあちこちを触って傷の治りなどを見ているシャールイ。

「そうだ、お家の方にもちゃんと連絡しておいたから、体が完治するまでは、ここで休んで頂戴ね」

「え!お、親父は大丈夫だったのか!じゃなくて大丈夫でございましたか!?」

「ふふ、無理にかしこまらなくてもいいわよ。自分の家だと思ってくつろいで頂戴。それに、横丁の皆も大丈夫よ。燃えちゃったお家も、しんちゃんの指示で、全部王国側で建て直す事が決まったから心配しないでね」

 診察が終わり双子に服を直してもらったサクラは再びベットに横になった。

「で、でもアタイなんかが王宮にいてもいいんですか?」

「いいのいいの。なんたってサクラちゃんは兄様の愛人1号候補だしね」

「へ?」

「あれ?違うの?みんなサクラちゃんが、兄様を好きだから助けたって思ってるよ?」

 双子はニヤニヤしながらサクラに詰め寄って行った。

「で、どーなの?正直兄様の事好き?」

「い、いや好きとか聞かれても、会ったばっかだし、それにアタイみたいなじゃじゃ馬、真一郎様が嫌がるだろうし……」

「じゃあ、しんちゃんがサクラさんの事好きなら問題ないのね?」

 ふふふふと会話にまざるシャールイ。

「いや、そんな事言われても……」

「ふふん。サクラちゃんがお嫁さん仲間になってくれれば嬉しいのになぁ」

「そ~だね~」

 双子はいつの間にかサクラの両側でトラ耳をいじっていた。

「お、お嫁さん仲間?」

「そそ、私達姉妹はみーんな兄様のお嫁さんになるの。サクラちゃんも一緒にどお?」

「そ、そんな!姫様達と一緒になんて無理だって!」

「大丈夫よ、私がちゃんと、しんちゃんにふさわしいお嫁さんにしてあげるから」

「え?しゃ、シャールイ様?」

 両側をがっちり双子にはさまれた、もはや逃げ場なしの状態でシャールイは顔を近づけて話かける。

「本当は、私達姉妹以外にお嫁さんはダメって、しんちゃんに言うつもりだったけど、サクラさんは命を賭けてしんちゃんを守ろうとしてくれたもの。その心意気は素直に関心させられたわ。だから特別にお嫁さん仲間にしてあげますね」

 もはやサクラに決定権はなかった

「さて、まずはお着替えしましょうか。二人とも手伝って頂戴ね」

「「ラジャー!」」

 思いっきり楽しそうなシャールイ&双子。

「え?ちょ!や!なんで脱がすの!!」

「脱がないとお着替えできないでしょ。もっとかわいい下着もつけなきゃね」

「そーだよ。せっかく可愛いんだから可愛いの着ないと!」

 動けないのをいいことに好き勝手始めた三人。

「二人とも良い心がけよ。女の子は可愛くしてないとね」

「ひぃぃぃぃ」

 三人の姫達の奇行に、サクラがすぐにでも家に帰りたくなったのは言うまでもない。








 同時刻。

 王都出発の二日後

 行軍三日目の中央砦遠征軍野営地にて。



「ハックション!」

「殿下、大丈夫ですか?」

「うん、大丈夫大丈夫。誰か噂してるかな?さ、行こうか」

 中央砦遠征軍は、予定よりも行軍が進んでいることもあり、前日よりもゆっくりとした朝をむかえていた。今現在は中央砦手前に広がる森林地帯。特に名前もないが、大型の生物もいなく、あまり危険のない場所だった。その森の中で、毎回野営地として利用している木を切り開いた広場には、思い思いの場所で朝食を食べる兵達があちこちに見えた。

 出発まで1時間以上あると聞かされた真一郎はゾーイと共に野営地のある場所にやって来ていた。

「おはようメータ」

「キュルルルル」

 真一郎の挨拶に鳥のさえずりのような鳴き声で答えたのは、深い緑の体色で尻尾にだけ黄色い縞模様の入った雌のディラノだった。

「今日は乗っても大丈夫なんだよね?

「そうですな。昨日の感じですと、メータもだいぶ殿下を気に入った様子でしたので大丈夫でしょう」

「よーし。それじゃよろしくね」

「キュルルルル」

 真一郎の声にまたも鳥のような声で答えるメータ。

「よろしい。でわあちらへ」

ゾーイに案内されて騎乗の準備をしに行く真一郎とメータだった。






 王都を出た翌日ジュリエッタとゾーイに頼んでディラノに乗せてもらう事になった真一郎。

 流石に最初から戦闘用に調教されたものには乗せてもらえず、普段は新人騎士の騎乗訓練などを請け負っている雌のメータを進められた。

 今回の遠征では、中央砦への補給要員として数十頭のディラノも同行しており、その中でメータは、王国のディラノの中では高齢でらしい。

 なぜ高齢のディラノを連れて来ているかと言えば、本来ディラノは群で行動し、年功序列の社会が基本の社会体系になっており、常にその群れで一番の年長者がボスになる。そのため、今回の様に大所帯の移動の場合はヒトに慣れ、王国での生活の長いメータや、他に数頭いる高齢組が臨時のボスとなり群れを率いて行軍に参加している。

 もともと頭のいいディラノ達の中でも、高齢組は20年以上王国の兵と共に過ごしているため、行軍にも特に問題なくついていけて、なおかつ兵の要望にもある程度応えられる。このあたりが馬よりも好まれる理由の一つだとも言われている。

「このメータは気性が穏やかで戦闘には不向きですが、ディラノ初心者には丁度いいヤツです。多少年はとってますがまだまだ元気ですし、無茶な事もしないので、今の殿下にはぴったりかと思います」

「うん、それくらいの方が初心者としては有難いよ。よろしくメータ」

「キュルルルル」

 一目見て真一郎を気に入った風のメータは、普段慣れた人にしか撫でさせない頭を真一郎に差し出し、ナデナデを待っていた。

「これは珍しい。ディラノは普通慣れた者にしか頭を撫でさせないのですよ」

「気に入られたって事でいいのかな?」

 恐る恐るメータの頭を撫でた真一郎。予想通りのウロコの手触りで、生温かかい頭をナデナデすると、メータはとても気持ち良さそうに目を細めグルグル言っている。

「おぉ、かわいいやっちゃ」

 にやにやとメータの頭をなでている様が、双子の妹にそっくりなのを言うべきか言わないべきか、ゾーイは悩みながら苦笑いをもらしていた。

「今日はとりあえず顔合わせという事で。明日になれば時間も取れると思いますので、その時にでも少し乗ってみますか?」

「いいね~。明日は進み具合によっては少し時間に余裕あるって言ってたしね。メータ、明日よろしくね」

「キュルルルル」

 メータはよほど真一郎を気に入ったのか、しきりに体を摺り寄せながら、真一郎を舐めていた。

「あははは、くすぐったいって。それじゃメータまた明日ね」 

 そういって去っていく真一郎を「キュルルル」言いながら姿が消えるまで眺めていたメータだった。



 ディラノ研究の第一人者、コン・ロンクォン氏によれば、ディラノ社会では雄雌がお互いに求愛をする際には、独特のフェロモンを出すという。このフェロモンを研究した結果、ヒトの放つ魔力の匂いに非常によく似た物だという事が分かった。

 ヒトの魔力の匂いと表現したが、これはあくまでディラノの感覚である。ヒト同士の場合これは魔力の色と表現されることが多い。つまり我々が視る事ができる魔力をディラノ達はフェロモン(匂い)として認識しているのである。この事により古来よりディラノはヒトに懐きやすい獣として、戦場に、労働にと重宝されてきた。

 さらに近年の研究で、より多くの色を持つ魔力ほど、ディラノ達には魅力的なフェロモンとなる事が分かった。仮に六属性すべてを使える人物ならば、例外なくどんなディラノにも好かれるという事だ。

 







 行軍3日目。

 そんなディラノ事情はつゆ知らず、ヒトにも亜人にも、獣人にも獣にもモテモテオーラ出しまくりの真一郎殿下はゾーイと共に、メータ騎乗訓練を開始するところだった。

「でわ殿下、ここに足をかけて、そうです。そのまま勢いよく背中に乗って下さい」

「よっと。こうかな」

 ディラノへの騎乗はヒトで言えば、前かがみで、おんぶをする恰好の、腰のあたりにまたがるイメージだ。ヒトであればバランスが取れないが、ディラノには立派なしっぽもあるため、腰のあたりに乗っても大丈夫なのだ。まんま肉食恐竜にまたがる感じと言った方が伝わりやすいだろう。

「おぉ、少し目線高くなっただけでだいぶ違うね」

「そうでしょう。さ、殿下この手綱を持って下さい。後は馬と大差ありません。馬よりもこちらのいう事を理解してくれますので、どうしたいか言えば動いてくれますぞ」

「よーし、んじゃメータ。最初だからゆっくり歩こうか」

「キュルルルル」

 真一郎の声に答えたメータはゆっくりと歩き始めた。

「おぉぉ。結構ゆれるね」

「もっと足に力を入れて挟んでも大丈夫ですぞ」

 念のため、メータの手綱から伸ばしたロープを持って、ゾーイがメータの隣を歩く形で歩いていた。どっかの牧場で子供が乗馬体験をしているようなおっかなびっくりの真一郎。

そんな彼らの横を颯爽と駆け抜けたディラノがいた。

「ふんっ」

 わざと追い越し、一度とまってからプイっとやってレイラが去って行った。彼女のディラノは黄緑色の若いメスで名前はパプリカらしい。

「な……。あれわざわざ見せびらかしにきてるだろ……」

 走り去ったかと思えば、また戻ってきて、真一郎の少し前を駆けながら、障害物を飛び越えたりとなかなか派手なレイラ。

「くそぉ。こんな精神的な仕返しをしてくるとは……後でジュリエッタ母さんにいじめてもらおう」

 黒い思考を出した真一郎に、振り向きながら「クルル?」と首をかしげるメータ。

「あ、ごめんごめん。なんでもないよ~あははは」

「殿下、ディラノは敏感に搭乗者の気持ちを感じ取ります。雑念ばかりでは落とされますぞ」

「はーい」

 指導が始まれば結構厳しいゾーイだった。




 異変が起きたのは真一郎がメータに乗って30分ほどたった頃だっただろうか。

 一度休憩をはさんで、「次は少し走ろうか」などと言いながらメータに乗っていた真一郎とその横に付くゾーイ。

「なんだかあっち騒がしくない?」

 真一郎の言葉で野営地のはずれの方を見ると、兵が何やら騒いでいた。

「何かあったやもしれませんな。私は様子を見てきますので、殿下はこちらで」

 そう言ってゾーイが離れようとした時、先ほど騒がしかった方から数頭のディラノが、搭乗者もなしで猛スピードで走ってきた。

「うわっ!なんだなんだ」

 真一郎達の横を走り去って行くディラノ達。それを追いかけて数名の兵が息を切らせながら走ってきた。

「ハァハァハァ……ゾーイ隊長に殿下。ディラノ達が急に暴れだして」

 ヒトの足では到底おいつけないディラノを追ってきた兵はゼェゼェ言いながらその場にしゃがみ込んだ。

「一体何があったんだ?」

「それが、本当に突然数等がキョロキョロしだして、次の瞬間には綱を切って走って行ってしまったんです」

 ヒトに慣れた騎士団のディラノではまず考えられない行動だった。

「ふむ。何か察知したのかもな。とりあえずロロイ嬢に事情を説明してディラノの元へ、後はジュリエッタ様にご報告と……」

 ゾーイがてきぱきと兵に指示を出していたのを、メータの上に座って聞いていた真一郎。

「メータは何も感じなかったの?」

 横から顔をなでるように聞いてみたが、なぜか先ほどのような反応はなく、メータは一点をじっと見つめていた。

「メータ、あっちに何かあるの?」

 真一郎がおりて確認してみようとした時、突然メータが「ギュルルルル」と威嚇音を上げた。

「殿下!すぐに降りてください!」

 異変に気付いたゾーイがすぐに真一郎を下ろそうとしたが、その手が届くより前にメータは走り始めてしまった。

「うわぉぉぉぉお」

「で、殿下!!」

「たぶん大丈夫だから~、ゾーイはジュリエッタ母さんに~……」

 走り去るメータの上からゾーイに叫んだ真一郎。あっといるまに森の中に消えていってしまった。


「あのバカが!」


 レイラは瞬間的な判断でメータ追跡に自分のディランと共に駆けた。彼女のパプリカは特に異常はなかったようだ。

「ひ、姫様!」

「あのバカは私が追う!母上とロロイ姉さんにこの事を!」

 走り去る国王候補と姫兼第三師団副詞団長補佐。それまでへばっていた兵は「大変だ!!」と叫びながらジュリエッタの元に走ったのだった。

「……殿下それに姫様も。どうかご無事で……」

 ゾーイは少しだけ二人が走り去った方を見ていたが、すぐに何か思い立ったようにその場を去って行った。





「まったく何の騒ぎだ!」

 朝食を済ませひと眠りしていたジュリエッタは、慌ててテントを訪ねた兵に少し苛立っていた。

「ディ、ディラノが突然暴れだして、数頭が逃走しました!さらに真一郎殿下を乗せたメータも暴走し、殿下を乗せたまま走り去ってしまいました!」

「なんだと!」

「付け加えまして、今レイラ様が殿下を追っています。現在ゾーイ隊長がロロイさんにディラノに事情を聴いて頂いてるところです」

「まったくあいつらは何やってんだ!おちおち昼寝もできないじゃないか!で、ゾーイ達はどこだ?」

「はい、ディラノの集合場所に居ます」

「よし、とりあえずそっちに行くぞ!」

 いそいでテントを出るジュリエッタだった。




「どんな感じだ?」

 ディラノを囲んで人だかりができている場所でジュリエッタはゾーイに聞いた。

「ジュリエッタ様、今回はワタシの注意不足でした。殿下をこんな目に……」

「謝罪は良い。どーせあいつの事だぼけーっと乗ったまんまだったんじゃないか?」

「いえ、ワタシが騒ぎに気付いて、すぐに殿下を下せばこんな事には……」

「だから気にするな。それよりロロイはなんだって」

「はあ、まだ聞いている最中のようです。


 二人の目線の少し先には、数頭のディラノにむかって熱心に聞き耳を立てているウサ耳の少女が居た。

「ふむふむ。なるほどねぇ。それで皆びっくりしちゃったんだね。うん、大丈夫メータとしんちゃんは必ず連れ戻すから心配しないで」

 そう言ってディラノ達を順々になでまわした彼女は、振り返ってジュリエットの元へ駆けてきた。

「ジュリ母様!」

「おぉ、ロロイ。どーだ何か分かったか?」

 ジュリエッタにロロイと呼ばれた彼女は、白とピンクのロリロリファッションに茶髪のツインテール。見た目十代前半のそばかすが可愛いく、戦場へ赴くにはかけ離れている少女だった。

「この子達が言うには、みんな誰かに呼ばれたみいなの」

 ロロイ自身の持つ能力は獣の言葉を理解できるという物だ。全てではないが殆どの意思がある獣なら簡単な会話ができるらしい。

「誰かに呼ばれた?」

「うん、それで何頭かが我慢できなくてその声の方に走って行っちゃったみたい」

「声ねぇ……」

 腕を組みながら考えるジュリエッタ。

「ディラノを誘導したって事か?そんな魔法あったかなぁ?」

「魔法とは違うって言ってるよ。頭の中に苦しそうな声が聞こえたんだって」

「苦しそうか。どこかの獣が助けを求めてるとかかな?まぁ追いかければ済む話か。ロロイ、後を追えるか?」

「うん、うちのキューちゃんならメータちゃんの匂いを追っていけるはずだよ」

「分かった。とりあえず、いくら行軍に余裕があるとはいえ、ここでずっと待つのも無理だからな。ゾーイ、お前に数名預けるから真一郎とレイラを探してきてくれ」

「はっ!かしこまりました!」

 その場で敬礼するゾーイ。

「よし。スキーリングとアリシアを呼んでこい!」

 とりあえず、何があるか分からないので戦闘能力高めの人選を選んだジュリエッタは、人ごみの中に呼びかけた。

「そんなデカイ声出さなくてもここに居ますよ」

 人ごみから出てきたのは、あの真一郎の決闘で実況をしていたスキーリング。その後ろから、緑のジャージ姿でメガネをかけ、金髪を無造作にツインテールにした少女がついて来た。

「お前達はゾーイとロロイと共に、真一郎を探しに行ってくれ。私は他の兵と共に先に中央へ行くからな」

「え~。ウチ探索任務とかつまんないから無理だし~」

 ジャージ姿の少女がけだるそうに答えた。

「アリシア……お前私の言う事が聞けんのか?」

「お願いジュリ様。ウチ先に砦言って~お風呂入りたいんよ。ジュリ様が探しに行けばいいじゃん」

 いちお上目づかいでこびうってみたが、ジュリエッタ相手では効くはずがなかった。

「ほう。軍総司令の私にはむかうとはいい度胸だな……」

「総司令の命令でも嫌なものはヤダし~」

 険悪なムードが漂う二人に慌てて割って入ったのはスキーリングだった。

「まぁまぁお嬢、ジュリエッタ様のいう事もたまには聞いて下さいよ。それに今回の探索対象は殿下ですよ。殿下にもしもの事があって、お嬢が探索嫌がったなんて聞いたら、殿下大好きな、えんじぇる姐さんが何て言うか……」

「う……あ、あんな変態親父なんて気にしないからいいもん」

「そんな事言って!こないだみたいなお仕置きがまたされたら、今度こそ人前には出れなくなりますよ」

「ほほう。それは楽しそうだな。よし!アリシアは中央へむかえ!私が探索に加わろう」

「ちょ!べ、別に行かないなんて言ってないし~。いいわよウチが行けばいいんしょ!」

 実の父の変態的な性癖はもう諦めたが、彼が行うお仕置きと言う名の、強制コスプレ大会はアリシアの人生の汚点以外の何物でもなかった。

「よし、これで決まりだな。それじゃ、皆頼んだぞ」

「「はっ!」」「はーい!」「はいはい」

 各々に返事をし、四人は森の中へ消えて行った。


「なんであんなのがアイドルやってるんだろな……」

 アリシアの普段と営業時のギャップに、不思議が止まらないジュリエッタは、近くの兵を呼び、出発の準備をいそがせるのであった。

なんかシャールイがキャラ変になってきた……

そしていつ砦戦始まるんだ……


さて次回の「はちぷり」は!

ディラノを呼ぶ謎の声!その正体と目的とわ!

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