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異なる世界で見つけた○○!  作者: 珈琲に砂糖は二杯
prologue《未知なる扉へと》
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第4話 『-そして彼は扉の向こうへ-』

 

「うーん、やっぱりあの時だよなぁ? ……けど命の保障は無いって言われてたけど、これってどうなんだろう?」


そう、誰でも、少なくとも人間と呼ばれ、そう自覚する生命体であれば。

こういった例え見知らぬ土地であっても、有り得ない環境であっても呼吸が出来、身体も自由に動き、己の目からは情報が脳へと送られる。

そして何より自分という個を認識できる事は死とは思わない、思えない、だからこそ彼の疑問は正しいと言えるものだろう。


「でもなぁ、んー、夢? は見てないんだよな……。いや、暗いっていうのかな? それと段々と明るくなっていく感じか? 違うか、それはここに居た時に目を覚ましたからかな……?」


事実、彼はここで目を覚ました。

何も無い、少なくとも目に見える範囲では何も見えない、この草原で。


「まぁうん、そうだなあのおっさんも言ってたしなぁ……、きっと……」


――

――――

――――――――

――――――――――――


「なんだっ!? このデータは!? 今まで我々がテストで得られたものとは比較に……。いやそもそも何かが違う? どういうことなんだ!?」


………!


「どこだっ!? ……良しっ! 第47号室!! 被験者は加藤祐かとう ひろだっ! 至急、その部屋へ急行するんだ! 映像が乱れている、彼に何が起こっているか分からない! 今すぐにでも彼を起こしてっ……」


………!?


「当然だっ! 実験のデータは大事だっ! あぁ大事さ、今この時も得られているデータが何かに、いや必ず我々の未来に役立つという事も! だが、私は彼等に言ったんだ! 言ってしまったんだ! 一ヶ月は大丈夫だからと! その間は安全だと!」


………っ、……!!!


「分かっている! それが方便という事は私が一番! なにより、未知のモノに対するものなんだ! テストだの言った所でそれが何なのか分からなければ何の意味も無いと!」


………!


「~っ! 分かった、最低限の装備を装着次第、急行しよう!」


…っ!


「良しっ! ここだっ……第47号室っ! いいか? 『扉』を開けるぞ!」


―――

――――――

――――――――――

――――――

―――


………?


「あぁ……分かっている。この件は暫くの間、そうだな1週間程度は皆には、いや上には黙っておくべきだと言いたいんだろう? 分かっている……私も、いや私は研究者なんだ……。分かっているさ」


………。


「うん、私もそう思う、訳が分からない……とね」


……?


「そうだ、確かに最初の微弱なあの反応は我々のテスト時に出たソレと酷似している。だが微妙に、違う……。

そして何よりその後のあの急激な変化……。それに……、彼の……遺体、としか言いようのないモノが光の粒子と成って消えたという不可思議」


………。


「そうなんだ、アレほど大きな反応が出たんだ。彼以外の部屋、そしてそこにいた被験者達にもそれなりの影響及び反応が出ても可笑しくは無い。そして第47号室の有るこの船自体にも、つまり我々にだって何らかの影響が……。

しかしほぼ出ていない……、出たのは実験室のみでその部屋でもそれはテスト時のものと同じ。そしてやはり第47号室の最初の反応とは微妙に違う」


………。


「前兆は大きな反応が現れる前に出たテスト時のような微弱な反応のみ。そしてその時に船外、つまり宇宙空間で何かしら動きがあったとは現状報告は無いと来ている、やはり夢なんだろうか? あぁは言ったものの、夢を見るとき、つまり睡眠時は人間は身体の力を抜く、そう言われているのを知っているかい?

ははっ当然か、そしてそれは意識を持つ、脳の活動にも当て嵌まる事でもある……。我々の目指しているその異世界からの情報の発信源、それは非常に不安定なものだ。だから覚醒状態、目を覚まして自意識を持ち、活動に必要な情報を処理したりと大忙しなわけだ。

そこに微弱な、弱すぎる『何かしら』を受信できたとしてもそれは活動に必要な、明瞭で強い情報を優先する脳に拒絶されると考えた……」


………。


「うん、そしてそれは居住空間を私達自身で確認したい、という我侭を通すという形での先行して船をこの宙域に置いたテストによって実証された訳だ。しかし、まさか初日でこんな事が起こるなんて……」


…………!


「そうだな、私は彼等にああ言った、言ってしまった。だが同時にこうも言った……言われずとも覚えているとも、忘れるわけが無い。決して無駄にはしないと、見つけてみせると……、確かに……あぁ、確かに言った」


………、……。


「ふぅ……、私は最低な人間かもしれないな? こんな事が起きて、まだ1日と経っていないのに君の言葉が嬉しいと感じてしまっている。だがそれでいい、私は最低な人間だろう、だからこそ成し遂げられる、だからこそ今回の事で学べるんだ」


……!


「済まないね、しかし今は熱くなりすぎるのを、許して欲しい……。そして決心したよ、私は犠牲を出す可能性があると分かったこの実験はもう終わりにしようと思う……。彼が遺したこの情報、これが全てさ!……ん? 全てなのか? だって?

ははっ! 当然じゃないか、このデータがあれば全て、私達が解明してみせる。そう言っているんだよ? 我々は人間なんだ、ちょっとした切欠さえあれば、世界は纏まるし、同時にそんな世界であってもたった一人の発言で大切な何かが崩れるものだ。そしてこのデータさえ有れば……我々人類は『何かしら』を解き明かせるんだ、違うかい?」


………。


「うーん、賛成してくれるのは嬉しいけど、なんだろうね? こう……なにかが足り無いなぁ、変に気を遣わなくて結構、思ったことを言いなさい」


………!………、……?


「あぁ……、ははっ! そうだね……君は実に面白い事を、いや違うな。そう……、君が言っている事はきっと事実だろう、天才だよ……」


………!


「馬鹿にしているわけではないよ?まぁ天才とソレは紙一重とも言うらしいがね? 先ほどの発言は別としてだが今回のその言葉に限っては君はその上に行ったと言っていいと思う。

私もそう思うよ、あぁ……そうさっ、必ず実証してみせよう!そうだっそうなんだっ!彼は……!」


――

――――

―――――――

―――――――――――


「ここが……、『異世界』かぁ……」



かくして舞台は地球という世界から、未知の扉の向こう側――異世界へ。



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