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異なる世界で見つけた○○!  作者: 珈琲に砂糖は二杯
第二章《右折と左折と直進と》
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第8話 『○○→登録!』


~武器を購入した後、彼らは防具も購入し冒険者として一応の体裁を整えていた。

そんな事があった翌日~


「さてカトー、剣も買った、防具も簡易とは言え、ちゃんとある。

そして歴戦の戦士からのお守りなんていう、この中ではある意味一番高価なものまであると来ている……」


「うん、ってか歴戦?あの人そんな凄い人だったのか?」


「オレには分かる。それで十分じゃないか?

それはそうとして、折角冒険者っぽくなったんだ、どうだ?

一回仕事を請け負ってみないか?」


「それで十分って……いやまぁいいけどさ?通じる者には通じる……うん、なんというかアレだけど悪くない。

んで、仕事?……そうだな、てか今思ったら俺、金ないんじゃん……」


「そういう事だ。

俺が好きでしている事だからいいんだが、この世界で生きていくならば、

やはり生きる為の術を持っておかなくてはならないだろう?」


「そうだよなぁ、それに……。うん、せめてこの剣の御代くらいは返したいしな」


「そうか……だが金貨10枚はなかなかに大変だぞ?まずはゆっくりと慣れていけばいいんだ。

ほら、早速斡旋所に行くとしよう」


「はいはい。それと、先輩は宿で待っててくれよな?

飯とかは女将さんとラルにお願いしてあるから安心してくれよ」


「キュッキュ」


~彼ら2人は小動物せんぱいを宿に残し、斡旋所へと向かった~


「ようこそ、斡旋所へ。仕事を請けに来た冒険者の方……でよろしいですか?」


~斡旋所に2人が入りカウンターに立つと、先日の大男ではなく、背中に翼を持つ女性のヒトが加藤の方を気にしながらも聞いてきた~


「あぁ、そうだ。何か簡単なのはあるかい?」


「簡単と言いますと……そうですね、貴方ならご存知かと思いますが防壁の修復工事があります。

こちらは如何でしょうか?」


「やはり、簡単と言えばそれになるか……」


「工事?ってこの剣いらなくね?」


「まぁな、こういう仕事も大事なんだだが……。

お嬢さん、小型が出たとかいうのは無いのかい?」


「あるにはありますが、……その」


「別にこいつが一人でって訳じゃない。

オレがメインと考えてくれていい、こいつにはモンスターがどんな奴なのか……。

そしてそれに対抗するためには工事とは言え、身体を鍛える必要性を身に覚えさせたいだけなんだよ」


「え?そうなの?」


「あのな、カトー。お前が単身でいきなりモンスターと遣り合って勝てるとでも、生き残れるとでも思っているのか?

そもそも、ちゃんと鍛えた兵士一人でさえ勝てるのなんて小型でも弱い奴が精々。小型で強い奴ともなればオレでも厳しい場合もある、一匹でな?

しかもここは他の街とは比べ者にならないくらいモンスターが多い地域なんだ」


「うっ、そうだよな……。うん、どんなのかってのだけでも見ておくと違うだろうし……」


「そういう訳だ。それで、どんなのがあるかな?」


「えぇっと、街の周辺で小型のカルガンが見られたというのがありまして。

それの発見、及び討伐に冒険者を集めている段階です。

依頼主はモンスター関係なのでお分かりかと思いますが、領主様になりますね」


「ふむ、それでいい。

それで、何人規模なんだい?それによってどの位置に付くか決めるからな」


「そうですね、カルガンは小型のモンスターですが、あまり大きな数の群れは作りません、多くても10体程度のものですから。

……なので20人規模を予定しています。

ちょうどお二人でそれに達しますので、開始は本日の昼12時になるかと思います」


「20人か……まぁ普通だな、悪くない。

分かった、昼12時だな?どこに集合なんだい?」


「はい、南側街門に集合となります。こちらの札をお持ちください。

依頼した方に渡しているもので、硬い金属のモノですから万が一の時の本人確認を兼ねてあります」


「確かに受け取った。それと気が付いているとは思うが、こいつの登録をお願いしたい」


「本当は登録してからじゃないとダメなんですけどね……。

貴方くらいの冒険者が付いているなら、っていう条件付でなんですよ?

えっと、君?登録手続きをしますので、こちらの席に来てください」


「あ、はい。えっと……」


「そのくらいは自分で出来るだろう?行って来い、オレは少々他の仕事も見てみる」


「との事ですし、こちらへどうぞ?

安心して下さい、別に狩りに行って来いだとか試験があるとかじゃありませんから」


~受付の女性は、カウンターの端にある個室への入り口の扉をくぐっていった、そこで登録手続きをするという事だろう~


「はい。まずはお名前を宜しいですか?」


「え、はい。加藤祐です、カトウ・ヒロ……」


「はい、カトーさんですね?お名前がカトーで家名がヒロっと」


「え!?あ、すいません。ヒロ・カトーです!」


「あ、そうなんですか?もぅ、ちゃんと言ってくださいね?

それでは、ヒロさん。

年齢は?住所は?これは現在滞在している宿屋で構いませんよ?

但し、登録した宿には定期的、最低でも1年に1度は連絡をこれからも取って頂きます。

これは後で変更も出来ますので、今は泊まっている所を教えていただければいいので」


「えっと、すいません。住所ってのが分からないんですが……」


「あぁ、別にどこどこの、なんて国じゃないんですから詳しくはいりません。

どこの宿屋なのか、それで結構ですよ?

それが書けましたら、どの程度の期間狩りといいますか、それをしてきたのか。まぁ登録し始めは大抵初心者なので、そこはこちらで記入しますので」


「えっと、『砂漠の水亭』っと、これで合ってるはず……」


「ん……はい、大丈夫ですね。驚きました、まさか字を書けるなんて。

ちょっとした新人さんに対するおちゃめのつもりだったのに……。

この年齢で冒険者初心者というのは少々遅い感じですが、なるほど……納得です」


(あれ?字書けるのって凄いのか?ルクータから教わったら簡単だったけども……、そーいやルクータも驚いてたな?

言葉を話せるようになる方がよっぽどだと思うんだけどなぁ、てかこっちの言葉覚えるついでに文字についても聞いてただけなんだが?)


~ルクータが驚くのも無理は無い、言葉は2ヶ月ほどでカタコトに感じるものとは言えば会話程度ならば可能に、文字は2週間ほどで自分で話せる事は、少々文法が可笑しい点もあるのだが文字でも書けるようになっていた。

前提条件が絶対的に違うが、赤ん坊が2ヶ月でペラペラと言葉を話し、それから2週間ほどで文字も書き始めるようなもの……異常と見ても不思議はあるまい~


「はい、これで記入事項は終わりです。

あとは似顔絵を描くので、10分ほどじっとして下さいね?」


(へ?これだけ?いいのか?……いいのか)


―10分経過―


「はい、描き終わりましたからもういいですよ?

お疲れ様でした。この似顔絵は基本3年更新になります。

こちらの似顔絵を加工して、本人証明の証のモノにします。

えっと、このような感じのモノですね?」


~受付の女性が見せたのは、恐らくは自分のものなんだろう。

見た限りはカードのようだ、そこに凹凸で顔が描かれている、見事なものだ~


「え?はい、ありがとうございます?」


「これを持っていれば、他の街では既に冒険者として扱われます。

登録料などは掛かりません、氏名を言えば大丈夫です。

長い間その街で仕事を請けるのであったら宿泊施設の更新も、という感じですね?」


「え?登録料金?俺そんなん払いましたっけ?」


「今回の仕事の支払いから差し引きますので、大丈夫ですよ?」


「あ、そういう事……」


「それでは終了です、お疲れ様でした」


―――

―――

―――


「お疲れ、カトー。似顔絵はつらかったか?

あのじっとするのはどうも苦手でなぁ……」


「あ、うん。てか字書けるってので驚かれたんだけど?」


「はっは、そうか。それはいい事じゃないか?

字が書けるってのだけで仕事の幅が大きく変わるからな?」


「へぇ……って、もう12時まであんまり時間ないんじゃない?

大丈夫なのか?」


「ん?そう言えばそうだな。

ふむ、それじゃあ行くか。お嬢さん、世話になったな」


「いえ、お気をつけて。……特に、新人さん?貴方がね?」


「うっ、はい。気を付けて頑張ります!」


~こうしてかとうは初めての仕事をこなす事となった。

腰に挿した一本の剣、そして胸元にある小さな棒切れを頼りに、彼はそれを振るうことになる~

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